アウソニウス(読み)あうそにうす(英語表記)Decimus Magnus Ausonius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アウソニウス」の意味・わかりやすい解説

アウソニウス
Ausonius, Decimus Magnus

[生]310頃.ボルドー
[没]393頃
ローマ帝政末期の詩人キリスト教徒の世俗文学の始祖。ボルドーで文法修辞の教師を 30年つとめてから,のちの皇帝グラチアヌスの師傅となり,対ゲルマニア戦に参加。属州各地の知事を歴任,379年執政官に任じられ,引退後は故郷文筆専念キリスト教徒であったが宗教感情に深みはなく,さまざまな韻律であらゆるテーマの詩を作ったが,しろうとの形式遊戯の感がある。代表作は,彼自身の日常生活を描いた詩集『日記』 Ephēmerisと,叙事詩の韻律によって自然美を嘆賞した『モーゼル川』 Mosella (370) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アウソニウス」の意味・わかりやすい解説

アウソニウス
あうそにうす
Decimus Magnus Ausonius
(310ころ―395ころ)

ローマ帝政末期の詩人。キリスト教徒の世俗文学の始祖。ボルドーに生まれ、後の皇帝グラティアヌスの家庭教師、ガリア総督、執政官を歴任。帝国崩壊の危機にも、当時流行のキリスト教の神学的議論にも関心を示さず、古典文学伝統の表面的な継承模倣に終始した。モーゼル川を嘆賞した叙事詩形の『モセルラ』が名高い。

[中山恒夫]

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