共同通信ニュース用語解説 「アオウミガメ」の解説
アオウミガメ
世界各地の熱帯や亜熱帯の沿岸地域に生息する世界最大種のウミガメ。大きな個体は甲羅の直径が約1メートルになる。日本では主に小笠原諸島から九州南部、南西諸島付近の海域で目撃される。乱獲などで数が減少し絶滅のおそれがあるとして、ワシントン条約で国際的な取引が禁止されている。環境省もレッドリストで絶滅危惧種に指定している。
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世界各地の熱帯や亜熱帯の沿岸地域に生息する世界最大種のウミガメ。大きな個体は甲羅の直径が約1メートルになる。日本では主に小笠原諸島から九州南部、南西諸島付近の海域で目撃される。乱獲などで数が減少し絶滅のおそれがあるとして、ワシントン条約で国際的な取引が禁止されている。環境省もレッドリストで絶滅危惧種に指定している。
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正覚坊(しようがくぼう)の別名で呼ばれるウミガメ科のウミガメ。緑がかった脂肉が名の由来。世界の熱帯~亜熱帯の海域に分布。甲長の最大は1.2~1.4m,体重は180kgに達するが,ふつうは甲長1m以下。背甲は楕円形で幼体は褐色,成体はにぶい青灰色か暗褐色で表面は滑らか。甲板は敷石状に並ぶ。カメ草と呼ばれ主食となるアマモなどの海草が繁茂する海岸近くの穏やかな海にすみ,繁殖期には採食海域から産卵地まで群れをなして大移動する。大西洋での調査によれば,2000km以上も離れた島まで往復することも知られている。おもな繁殖地はカリブ海,マレーシア,アフリカの東西海岸など。ウミガメではもっとも美味なため古くから肉が食用に供され,また卵は現地での重要なタンパク源となっている。さらに海洋汚染や産卵場所の環境破壊のため生息数が激減し,そのため各国で保護対策が進められている。日本近海での採食海域は伊豆諸島から南西諸島であり,海水温度が15℃以上の日本海や本州東方海上を回遊し,5~8月ごろ小笠原諸島と南西諸島の一部に上陸して産卵する。1回の産卵数は60~100個ほど。小笠原では明治末期からアオウミガメの調査や人工孵化(ふか)による放流が続けられ,1972年父島に小笠原水産センターが設けられて,本格的な保護増殖が試みられている。近縁に甲の平らなオーストラリアアオウミガメC.depressaがいる。
→ウミガメ[図]
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
爬虫(はちゅう)綱カメ目ウミガメ科のカメ。正覚坊(しょうがくぼう)ともよばれる大形のウミガメ。世界の熱帯から亜熱帯の海洋に分布する。背甲は滑らかで各鱗板(りんばん)は重なることがなく、若齢時は濃いオリーブ色であるが、成長とともに不規則な褐色や淡黄色の放射状や雲状の模様が現れるなど甲の紋様には変化が多い。肋甲板(ろっこうばん)は4対を基本とするが変異もある。普通、第1肋甲板は頂甲板に接することはなく前額板は1対である。老成したものは甲長1.2メートル、体重300キログラムを超える。浅海に繁茂するトチカガミ科やリュウキュウアマモ科などの顕花植物や褐藻・緑藻類などの海藻も好む草食(藻食)性傾向の強いウミガメで、餌場(えさば)と産卵場の間を回遊することで知られている。日本では4~5月ごろより夏にかけて、屋久島(やくしま)以南の島々および小笠原諸島(おがさわらしょとう)などで産卵上陸がみられるが、世界的にみると分布の北限に近く、資源は小さい。地方によって亜成体のものをアサヒベッコウなどとよぶところもある。
[内田 至]
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…完全な海生種で,陸地には産卵期しか上陸しないが,アオウミガメが日光浴のため無人島の砂浜にやってくることが知られている。現生のウミガメ類の分類には諸説があるが,ウミガメ科を骨格の違いでアオウミガメ亜科とアカウミガメ亜科の2グループに分け,前者にはアオウミガメChelonia mydas(イラスト)とオーストラリアアオウミガメC.depressaの2種,後者にはアカウミガメCaretta caretta(イラスト),ヒメウミガメLepidochelys olivacea,ケンプヒメウミガメL.kempiiおよびタイマイEretmochelys imbricata(イラスト)の4種を含む考え方が支持されている。 海洋生活に適応してウミガメ類の甲は平らで,他のカメ類より退化しており,頭部と四肢は甲内に完全には引きこめることができない。…
…世界の熱帯,亜熱帯の海域に広く分布し,日本近海を含む温帯地方にも回遊する。完全な海生種で,陸地には産卵期しか上陸しないが,アオウミガメが日光浴のため無人島の砂浜にやってくることが知られている。現生のウミガメ類の分類には諸説があるが,ウミガメ科を骨格の違いでアオウミガメ亜科とアカウミガメ亜科の2グループに分け,前者にはアオウミガメChelonia mydas(イラスト)とオーストラリアアオウミガメC.depressaの2種,後者にはアカウミガメCaretta caretta(イラスト),ヒメウミガメLepidochelys olivacea,ケンプヒメウミガメL.kempiiおよびタイマイEretmochelys imbricata(イラスト)の4種を含む考え方が支持されている。…
…カメとその卵は世界の各地で食用に供されるが,日本ではスッポンが高級料理として珍重される。北アメリカ産キスイガメMalaclemys terrapinやアオウミガメも賞味されるが,熱帯地方では各種のカメ,とくに海ガメ類の肉と卵が食用に供される。また工芸品としてタイマイの甲板がべっこう細工として櫛(くし)や笄(こうがい)に用いられ,タイマイ,アオウミガメは剝製や革細工の材料として大量に捕獲されてきた。…
※「アオウミガメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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