ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アティヤ」の意味・わかりやすい解説
アティヤ
Atiyah, Sir Michael Francis
[没]2019.1.11.
イギリスの数学者。レバノン人の父とスコットランド人の母をもつ。エジプトのビクトリア・カレッジとケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに学び,1955年に博士号を取得。1955年にアメリカ合衆国のプリンストン高等研究所 IASに招かれたのち,1956~61年ケンブリッジ大学で教鞭をとる。1961年にオックスフォード大学に移り,1963~69年最高位の数学教授職。1990年からはケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長およびアイザック・ニュートン数理科学研究所所長。1966年にソビエト連邦のモスクワで開催された国際数学者会議で,位相幾何学(→トポロジー)と解析学に関する業績によりフィールズ賞を受賞した。2004年にはアメリカ合衆国のイサドール・シンガーとともにアーベル賞を受賞している。フランスのアレクサンドル・グロタンディーク,ドイツのフリードリヒ・ヒルツェブルーフらと並ぶ K理論の創始者の一人。1963年にシンガーと共同でアティヤ=シンガーの指数定理を証明した。これは楕円型微分作用素の指数と呼ばれる解析的な量を,特性類を用いた位相幾何学的な量で表すものである。アティヤ=シンガーの指数定理はリーマン=ロッホの定理(→リーマン)などを含んでおり,20世紀の幾何学を代表する成果である。アティヤの研究領域は広範な分野にわたっており,複素多様体(→多様体),代数的位相幾何学,代数幾何学,複素解析学(→複素変数関数論),ヤン=ミルズ方程式(→ヤン=ミルズ理論)とゲージ理論,数理物理学における超弦理論などにおいても著しい業績を上げた。
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