日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナワク高原」の意味・わかりやすい解説
アナワク高原
あなわくこうげん
Anáhuac
メキシコ中部の高原。アナワクとは原地語の「湿った所」の意で、原義的にはメキシコ中央高原のなかのテスココ湖を中心とする豊水性地域、すなわちメキシコ盆地をさす。メキシコは乏水性でありながら、ポポカテペトル山など5000メートル級の山々の雪解け水によって、豊水性地域を形成した。アナワク高原はこの水の豊かな地域をいうが、アナワクの意味を解せず、メキシコ中央高原のサボテンの多い乾燥地域を含めて、アナワク高原という場合もある。ポポカテペトル山の伏流水は、南東のクワウトラ、マタモロスではプールに利用され、プエブラではダムにより農業用水として利用される。メキシコ市南部のソチミルコ湖もテスココ湖の名残(なごり)で、メキシコ市の建設に伴って、北部に排水路を設けてテスココ湖の縮小を図ってきた。現在は北東に縮小し、南のほうは空港に利用されている。
[高木秀樹]