翻訳|aphtha
古くヒッポクラテスの時代には灼熱および潰瘍形成を意味する言葉であったが,現在では舌,口唇,ほおの粘膜などの口腔粘膜に発生する直径10mm以下の孤立した痛みのある小潰瘍に対する症状名として用いられる。潰瘍は境界が明りょうな円形あるいは楕円形で,黄白色の膜で覆われ,辺縁は隆起しない。周囲には幅の狭い紅暈(こううん)(赤いふちどり)がある。アフタは種々の疾患あるいは症候群でみられる。ヘルペスウイルスによるアフタ性口内炎,周期性好中球減少症,アレルギー疾患などにみられるアフタは原因が明らかである。しかし,比較的頻度の高い慢性再発性アフタは原因が明らかでなく,近年,自己免疫疾患という考えもあり,ベーチェット病のアフタとの鑑別も非常に困難である。治療は,局所の痛みに対しては,歯および補綴物の鋭い縁を削るなどにより口腔状態をよくしたうえで,副腎皮質ホルモンを含んだ軟膏を塗る。全身的には副腎皮質ホルモンが効を奏する場合もあるが,再発を防止する的確な治療法は現在のところない。
執筆者:塩田 重利
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
粘膜に発生する小さい円形ないしは楕円(だえん)形のきわめて浅い潰瘍(かいよう)状の病変をいう。表面には白色偽膜(ぎまく)様の繊維性物質が付着しており、周囲の粘膜はやや赤みを帯びて、紅暈(こううん)とよばれる。アフタは一つの病状であり、いろいろな原因によっておこるほか、全身性疾患の症状の一つとして発生することがある。
もっとも頻度の高いのはアフタ性口内炎で、直径2~4ミリメートルほどのアフタが口腔(こうくう)粘膜に発生する。好発部位は口腔の前方で、舌、歯肉、口唇などに1個ないし数個みられ、痛みがある。原因として機械的刺激、アレルギー、疱疹(ほうしん)ウイルスの感染、精神的ストレス、ビタミン不足などが考えられているが、原因不明のことも多い。このようなアフタは通常4~5日で治癒し、瘢痕(はんこん)を残さないのが特徴。アフタ性口内炎はしばしば再発を繰り返すものがあり、これを再発性アフタとか習慣性アフタという。再発性アフタのなかには、全身疾患の一症状のこともあるので注意する。
ベーチェット病はアフタ性口内炎に、目のぶどう膜炎と外陰部の潰瘍が合併する。アレルギーに関連する多形滲出性紅斑(しんしゅつせいこうはん)や結節性紅斑などで、再発性アフタを合併することもある。再発性ではないが、水痘、手足口病、ヘルパンギナ、帯状疱疹などのウイルス感染症で、アフタが発生することがある。
[河村正三]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…口腔の後方,最も奥のところは口狭といい,上方は軟口蓋,下方は舌根で,側面のへこみに口蓋扁桃(単に扁桃,俗に扁桃腺ともいう)があり,咽頭へとつながる。
[口腔の病気]
口腔粘膜の病気にはアフタ,アフタ性口内炎,口腔白板症,口腔癌などがある。アフタは口の中の粘膜に生じる米粒大の潰瘍で,白色の薄い膜で中央部がおおわれ,周囲には発赤した部分がある。…
…天疱瘡の口腔内症状として現れたり,ウイルスの感染によるヘルペスアンギーナや疱疹性口内炎としてみられる。(3)潰瘍性口内炎 口腔粘膜に潰瘍が形成されているもので,潰瘍の状態によって糜爛(びらん)性,偽膜性,アフタ性などに分けられるが,アフタ性口内炎が最も多い。原因は細菌あるいはウイルスの感染,薬物ないし薬物アレルギー,皮膚科疾患など局所的なものと全身的なものとがある。…
※「アフタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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