アラミド繊維(読み)アラミドセンイ(その他表記)aramid fiber

翻訳|aramid fiber

デジタル大辞泉 「アラミド繊維」の意味・読み・例文・類語

アラミド‐せんい〔‐センヰ〕【アラミド繊維】

aramid主鎖芳香族環をもつ、ポリアミド合成繊維の商品名。強度弾性率耐熱性にすぐれ、ゴムプラスチックセメントなどの補強材料として、またロープ・織物・不織布として用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「アラミド繊維」の意味・わかりやすい解説

アラミド繊維 (アラミドせんい)
aramid fiber

アラミドは全芳香族ポリアミドaromatic amideのことで,脂肪族ポリアミド(ナイロン)と区別するため名づけられた。アミド結合-CONH-がベンゼン環のような芳香環を結合して高分子ポリアミドを形成している。アラミド繊維は,引張強さ,強靱(きようじん)性,耐熱性が従来の繊維よりはるかに大きい。

 ポリ-m-フェニレンイソフタルアミド(商標ノメックスNomex)は,耐熱性繊維としてアメリカデュポン社で開発され,1967年に市場に出た。m-フェニレンジアミンとイソフタル酸クロリドの重縮合物で,日本でも同種の繊維はコーネックス(商標)として市販されている。宇宙服,保護服など宇宙計画用に開発されたが,ノメックスは防炎性ももつので,消費者用としてパジャマ,カーテン,作業衣,室内装飾布,カーペットなどに用いられている。顔料バインダー(繊維の接着剤)を混ぜて行うピグメント染色が可能になり,用途が広がった。 ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド(商標ケブラーKevlar)は,デュポン社がポリ-p-フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドの重合技術を改良して成形可能な高重合度のポリマーを製造することに成功し,さらにそれを硫酸に溶かして紡糸する技術を確立して,繊維が製造されている。タイヤコードに使用され,自動車用ラジアルタイヤのプライ数減少を可能にし,自動車軽量化に役立っている。防弾チョッキヘルメットなど特殊用途に,高強力,高弾性率のアラミド繊維が使われ,今後も新用途の開発が見込まれている。


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百科事典マイペディア 「アラミド繊維」の意味・わかりやすい解説

アラミド繊維【アラミドせんい】

芳香族ポリアミドを使った高分子繊維。ポリアミドとは,分子内にアミド結合(−CONH−)を持つ高分子の総称で,この繊維は脂肪族ポリアミド(ナイロン)と区別するために名付けられた。従来の繊維に比べ,引張強度,弾力性,耐熱性に優れる。代表的存在であるデュポン社(デュポン財閥)のケブラー(商標)は,スチール繊維の7分の1,ガラス繊維の2分の1の重量で,同程度の引張強度を持っている。防弾チョッキなどの特殊な用途だけでなく,ヘルメット,ラジアルタイヤのタイヤコード,ロープなどに使用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラミド繊維」の意味・わかりやすい解説

アラミド繊維
あらみどせんい
aramid fiber

引っ張り強さ、弾性率、耐熱性に優れた有機繊維。アメリカの化学会社デュポンが開発した「ケブラー」とオランダ・エンカ社の「トワロン」がその代表格。国内メーカーでは帝人がリードしている。分子構造のちがいによって、パラ系とメタ系に分かれる。強度に優れるパラ系は自動車タイヤコードや宇宙航空分野、耐熱性に優れるメタ系は防火服、各種寝装品などの用途を中心に、需要が拡大している。

[編集部]

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パラグライダー用語辞典 「アラミド繊維」の解説

アラミド繊維

伸び・縮みが非常に少なく、非常に引張り強度が強い繊維である。細くて強度を必要とするパラグライダーのラインに適した繊維といえる。しかし、紫外線に弱い事や進行していくストレスを外観から判断しにくい事もあり、パラグライダーのラインは定期的に交換が必要とされている。スーパー繊維あるいはハイテク繊維と呼ばれる事もある。ケプラーとも呼ばれるが、ケプラーはデュポン社の登録商標である。

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