日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルカディウス」の意味・わかりやすい解説
アルカディウス
あるかでぃうす
Flavius Arcadius
(377ころ―408)
ビザンティン帝国皇帝(在位395~408)。383年父帝テオドシウス1世によりアウグストゥス(正帝)の称号を受け、394年にローマ帝国の東部を委託された。翌395年父帝の死後、弟ホノリウスと帝国を分割統治、彼は東ローマの皇帝となった。しかし病弱で政治にほとんど影響力をもたず、実権は妃エウドキシアや側近のルフィヌス、エウトロピウスらの手中にあった。彼らはダキアとマケドニアの帰属をめぐって西ローマ帝国の最高司令官でゲルマン人のスティリコと対立したが、この東西の不和を利用して396年アラリック率いるゲルマン民族の西ゴート人が帝国内に侵入、略奪を行い、一時コンスタンティノープルを占領されるなど、5年にわたり治世が乱れた。
[島 創平]