日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルトゥジウス」の意味・わかりやすい解説
アルトゥジウス
あるとぅじうす
Johannes Althusius
(1557―1638)
ドイツの法学者。ディーデンスハウゼンに生まれ、バーゼルおよびジュネーブに学ぶ。1586年ヘルボーン高等法院教授。1604年以後、死ぬまでエムデン市長。主著『政治学』Politica Methodice Digestaにおいて、社会契約、人民主権、抵抗権、政教分離、権力制限の理論などを主張し、近代政治学の先駆者として知られる。彼によれば、家族、市民団体、都市、州、国家の順に、小さな団体が契約を結ぶことによって、より大きな団体が形成される。国家の主権は人民にあり、君主による専制支配に際しては、これに抵抗する権利が人民に認められる。ラスキの多元的国家論にも影響を与えた。
[津田晨吾]
『H・カメン著、成瀬治訳『寛容思想の系譜』(1970・平凡社)』▽『津田晨吾著『アルトジウスの契約思想』(『社会契約説』所収・1977・新評論)』