アルピーノ(読み)あるぴーの(英語表記)Giovanni Arpino

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルピーノ」の意味・わかりやすい解説

アルピーノ
Arpino, Giovanni

[生]1927. ポーラ
[没]1987/1988
イタリア小説家。日常の些細な事件糸口として,それが現代人の心理深層によどませている影,不安,罪の意識などを劇的に描き出す。主著『誇り高き犯罪』 Delitto d'onore (1961) ,『丘の影』L'ombra delle colline (64) ,『闇と蜜』 Il buio e il miele (69) ,『20年間の短編集』 Racconti di vent'anni (74) ,『月の最初の四半分』 Il primo quarto di luna (76) など。

アルピーノ
Arpino

イタリア中西部,ラツィオ州フロジノーネ県の町。ローマ東南東約 95km,リリ川左岸に位置する。アペニン山脈西麓の町。前5世紀頃ボルスキ人の重要な拠点であったが,前 305年ローマ人に征服された。キケロや G.マリウス誕生の地で,古代ローマの城壁が残っている。中世にはランゴバルド人の支配下におかれ,中世の城も残っている。おもな産業農産物の加工,毛織物工業人口 7811 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルピーノ」の意味・わかりやすい解説

アルピーノ
あるぴーの
Giovanni Arpino
(1927―1987)

イタリアの小説家。妥協やごまかしを拒んだ主人公がおのれの存在理由をつかみ取って生きようと決意するまでを描いた『若い修道女』(1960)で認められた。第二次世界大戦後の混迷を深める社会なかで、根なし草のように生きる人間苦悩と自己回復の試みを描き続けるアルピーノ姿勢はとくにストレーガ賞受賞作『丘の影』(1964)に顕著である。ほかに『青い闇(やみ)』(1977)などがある。

[川名公平]

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