(読み)オヤ

デジタル大辞泉 「親」の意味・読み・例文・類語

おや【親/祖】

(親)子を生んだ人。父と母の総称。また、その一方。養父母などにもいう。また、人間以外の動物にもいう。「実の―」⇔
(親)同類を増やすもとになるもの。「サトイモの―」「―木」⇔
(親)同種のもののうち、中心的役割を果たすもの。また、比較して大きいもの。「―会社」「―指」⇔
(親)花札・トランプ遊びなどで、札などを配り、中心となってゲームを進行させる人。「―を決める」⇔
(親)無尽などの発起人
親株2」の略。
祖先。「―代々の土地」
「おぼろかに心思ひて空言むなことも―の名絶つな」〈・四四六五〉
物事の始め。元祖。
「物語の出で来はじめの―なる竹取のおきな」〈・絵合〉
上に立つ人。かしら。
「国の―となりて」〈・桐壺〉
[下接語]命の親生みの親烏帽子えぼし男親帯親女親片親仮親契約親講親里親実親育ての親ちちてて胴親名親名付け親母親二親へこまま養い親寄り親
[類語](1両親二親父母ふぼ父母ちちはは親御親元実の親生みの親・実父母・継父母継親ままおや仮親養父母養親養い親育ての親・育て親・里親名付け親片親/(2母胎

しん【親】[漢字項目]

[音]シン(呉)(漢) [訓]おや したしい したしむ ちかい みずから
学習漢字]2年
〈シン〉
父母。おや。「親権養親両親老親
縁続きの身内。「親戚しんせき親族親類近親肉親
身近に接してしたしくする。したしい。「親愛親交親切親睦しんぼく親友懇親和親
自分で直接に。みずから。「親告親書親政親展
〈おや〉「親子親心里親父親母親
[名のり]いたる・ちか・ちかし・なる・み・みる・もと・よしみ・より
[難読]親族うから親父おやじ親仁おやじ親爺おやじ親王みこ

しん【親】

したしいこと。したしみをもつこと。⇔
みうち。みより。親族。「大義めっす」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「親」の意味・読み・例文・類語

おや【親・祖】

  1. 〘 名詞 〙 人を生んで養育し、または人の上に立って指導的な役割を果す人物。
  2. 子を生んだ人。また、他人の子供を自分の子供として養い育てる人。父母、養父母の総称。烏帽子親などの仮親をもいい、また、動物にもいう。⇔
    1. [初出の実例]「飯に飢(ゑ)て 臥(こや)せる その旅人あはれ 於夜(オヤ)無しに 汝(なれ)(な)りけめや」(出典:日本書紀(720)推古二一年一二月・歌謡)
  3. 祖先。祖父母曾祖父母とさかのぼって、祖先の人々を総称する語。とおつおや。
    1. [初出の実例]「乾坤(けんこん)初めて分れて、参神造化の首と作(な)り、陽陰斯(ここ)に開きて、二霊群品の祖(おや)と為りき」(出典:古事記(712)序)
  4. ( 比喩的に ) 元祖(がんそ)。もののはじめ。物を生じるもとのもの。⇔
    1. [初出の実例]「まづ物語の出できはじめのおやなる竹取の翁に、宇津保の俊蔭を合はせて争ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
  5. 上に立つもの。長。かしら。また、第一人者
    1. [初出の実例]「国のおやとなりて、帝王のかみなき位にのぼるべき相おはします人の」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  6. 中心になるような、おもだったもの。大小相対するもののうちの大きな方。「親会社」「親指」など、他の語と熟して用いることが多い。⇔
    1. [初出の実例]「親も子もぐたついて来た古障子」(出典:雑俳・五色墨(1809))
  7. 刀剣の柄に巻く鮫皮(さめがわ)の表面の小さな粒の間に混じる大きな粒。
    1. [初出の実例]「鮫でさへ親がなければ安くされ」(出典:雑俳・柳多留‐三八(1807))
  8. 遊戯などのリーダー。⇔子。
    1. (イ) カルタなどの賭博で、札を配り最初に札を打つ人。前の場の得点の最も多い者がなるのがふつう。
      1. [初出の実例]「おやがうちきろふと云により、二くづした」(出典:咄本・鹿の巻筆(1686)三)
    2. (ロ) 麻雀、トランプ、カルタなどのゲームで、最初に牌(パイ)や札(ふだ)を出す人。
  9. 無尽などの発起人。
  10. 入札の際の売り主。
  11. おやかぶ(親株)」の略。

したしみ【親】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「したしむ(親)」の連用形の名詞化 )
  2. 親しむこと。むつまじいこと。まじわりが深いこと。また、親しい感じ。
    1. [初出の実例]「海の神、則ち其の子(むすめ)豊玉姫を以て妻(あわ)せまつる。遂に纏綿(むつまか)に篤愛(シタシミ)して、已に三年(みとせ)に経(な)んぬ」(出典:日本書紀(720)神代下(寛文版訓))
    2. 「ベイルートは、日本人にはあまり親しみのない名前であるが」(出典:世界の裏街道を行く(1955)〈大宅壮一〉中近東諸国)
  3. 親しい友だち。親友。知人。また、血のつながった親族。親戚
    1. [初出の実例]「別当惟方は、元来信頼卿のしたしみにて、契約ふかかりしかども」(出典:平治物語(1220頃か)上)

しん【親】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 親しくすること。親しみをもつこと。したしみ。よしみ。
    1. [初出の実例]「无親无怨。三界耶嬢」(出典:性霊集‐六(835頃)弘仁太上為故中務卿伊与親王修功徳願文)
  3. 両親。父母。おや。
    1. [初出の実例]「人親其親。家子其子」(出典:性霊集‐六(835頃)弘仁太上奉為桓武皇帝講御礼法花経達)
    2. [その他の文献]〔礼記‐祭義〕
  4. 血縁のもの。みよりのもの。みうち。親族。親類。親戚(しんせき)。〔改正増補和英語林集成(1886)〕 〔集韻〕

したしく【親】

  1. ( 形容詞「したしい(親)」の連用形 ) ⇒したしい(親)

したし【親】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙したしい(親)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「親」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] シン
[字訓] おや・したしむ・みずから

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
辛(しん)+木+見。神事に用いる木をえらぶために辛(針)をうち、切り出した木を新という。その木で新しく神位を作り、拝することを親という。〔説文〕八下に「至るなり」とし、また宀(べん)部の字条七下にも「至るなり」とあって同訓は新しい位中に拝する形で、金文には親をに作ることがある。父母の意に用いるのは、新しい位が父母であることが多いからであろう。その限定的な用義である。すべて中に新しい位を拝するのは、親しい関係の者であるから、親愛の意となり、また自らする意に用いる。

[訓義]
1. おや、父母、みうち。
2. したしむ、したしい、ちかい、ちかしい、よしみ。
3. み、みずから、したしく。

[古辞書の訓]
名義抄〕親 シタシ・チカシ・ミヅカラ・ウツクシブ・マノアタリ・ムツマジ・ムカフ・ハハオヤ 〔字鏡集〕親 ミ・ウツクシミ・ヲヤ・ミヅカラ・イタル・シタシ・ホドコス・ムツマジ・チカシ・ウツクシク・ウツクシビ・ムカフ・ハハ・マノアタリ

[語系]
親・tsien、新sienは声義近く、新しい位の人は親近の関係者である。親・を〔説文〕に両字とするが、ともに金文にみえ繁簡の字である。

[熟語]
・親愛親渥・親懿・親委・親倚・親姻・親衛・親閲・親縁・親家・親串・親・親貴親鞫・親旧・親近・親遇・親軍・親兄・親敬・親迎・親眷・親故・親厚・親狎・親倖・親候・親交・親好・親幸・親裁・親蚕・親讚・親慈・親識・親・親炙・親者・親受・親従・親習・親書・親署・親情・親醸・親親・親臣・親信・親征・親政・親戚・親切・親接・親餞・親善・親疎・親・親総・親属・親族・親知・親智・親・親弟・親逖・親展・親睹・親土・親等・親任・親拝・親比・親筆・親・親表・親賓・親附・親父・親扶・親兵・親嬖・親母・親朋・親睦・親密・親民・親友・親与・親要・親頼・親覧・親・親臨・親類・親和
[下接語]
安親・懿親・姻親・家親・貴親・躬親・近親・君親・顕親・厳親・功親・婚親・懇親・至親・自親・侍親・慈親・周親・習親・従親・辱親・仁親・宗親・内親・肉親・背親・睦親・密親・養親・六親・両親・老親・和親

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「親」の解説

ツリー構造において、分岐元の節のこと。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【親子】より

…父母と子の関係を指すが,生みの親と子の血縁的な関係だけではなく,養親と養子,親分と子分,親方と子方の関係のように,法制上,習俗上親子関係が擬制される関係(擬制的親族関係)を指しても用いられる。
[親子と血縁]
 親子関係では,とくに血のつながりという自然的要素が強調されるが,いずれの社会でも,血のつながりがあればただちに社会的にも親子関係が発生するとされているわけではない。…

【家父長制】より

…【西村 重雄】
[中国]
 甲骨文や金文では,〈父〉字は権威のシンボル(斧,杖,火などの諸説あり)を手に持った形といわれ,子に対する父の権威は早くから成立していた。しかし殷代の父は一面で実父の世代に与えられた類別的親族称呼でもあった(多父)。殷の中期以後,王位の継承は兄弟相続から父子相続に変化し,周も嫡長子を宗家の継承人とする宗法が発達したが,殷・周時代の父子関係にはまだ宗族組織が強くからんでいた。…

【子ども(子供)】より

…現在最も一般的なのは,おとな(成人)の対概念としての子どもであり,この場合は,個体としての生命の発生から成人するまでのあらゆる段階にあるもの,すなわち,胎児,乳幼児,児童,少年少女などを総称する。次いで親の対概念としてのそれは,年齢や生物的・社会的成熟度とは無関係に,先行世代の個体によって生み出されたもの,もしくはそれと同等の役割をとる者の総称である。そのほか従者や使用人を呼ぶ場合もあり,また古くは,歌舞伎の若衆や遊里の遊女の呼称でもあった。…

※「親」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android