ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントニヌス・ピウス」の意味・わかりやすい解説
アントニヌス・ピウス
Antoninus Pius
[没]161.3.7. ローマ近郊ロリウム
ローマ皇帝 (在位 138~161) ,五賢帝の一人でその4番目にあたる。 120年執政官 (コンスル ) 。イタリアの司法行政を支配。のちアシア州総督。ハドリアヌス帝の養子となり,その死後即位。元老院と協調し,「敬虔」 Piusの名を得る。穏健で,ほとんどローマを離れずに政治を行なった。治世はおおむね平和,役人の地位を安定させ,属州の負担をやわらげ,冗費を節約,法施行に際しては寛大であった。社会政策も進め,キリスト教迫害を緩和した。外部に対しては防御的で,ブリタニアにアントニヌス長城を築き,ゲルマニアにも防壁を築いた。ブリタニア,ダキア,北アフリカ,ユダヤで小規模な反乱もあったが,政治の中央集権化が進み,安定しており,A.アリスチデスによってその平和がたたえられた。 147年彼の手によりローマ建国 900年祭が行われた。彼の死後養子マルクス・アウレリウスが即位した。
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