イスズミ(その他表記)Kyphosus lembus

改訂新版 世界大百科事典 「イスズミ」の意味・わかりやすい解説

イスズミ
Kyphosus lembus

スズキ目イスズミ科の海産魚。別名ゴクラクメジナ。本州中部以南,台湾,フィリピン,インド洋などに広く分布している。伊豆でイズスミ,紀伊半島各地でワサビ,キツトオ,イスミルなど,八丈島でアイス,ササヨハトヨなどの呼名がある。メジナ科の魚に近縁で,体形や体色がよく似ている。体は青褐色で体側に多数の黄褐色の縦線が走る。体長40~50cmに達する。沿岸の岩礁域の中層大群で遊泳し,海藻を好んで食べるが,夏から秋までは小動物もよく食べる。全長5cmくらいまでの幼魚初夏に流れ藻の下によく集まり,プランクトンを食べている。磯釣りの対象魚として人気があり,冬はかなり美味とされるが,夏は特有の臭みがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イスズミ」の意味・わかりやすい解説

イスズミ
いすずみ / 伊寿墨
bluefish
chub
[学] Kyphosus lembus

硬骨魚綱スズキ目イスズミ科に属する海水魚。別名ゴクラクメジナ。地方名クシロ(東海地方)、キツオ(高知)、アサベ(尾鷲(おわせ))など。日本では関東以南、太平洋、インド洋などの暖海域に分布。体形はタイ形で、側扁(そくへん)する。吻(ふん)は短く、口は小さい。両あごには門歯が1列に並び、これらは著しく鋭利である。尾びれの後縁は湾入する。体色は青褐色で、体側に多くの黄色の縦走線が走る。また、全体的に橙黄(とうこう)色の個体もみられる。背びれ10棘(きょく)14軟条、臀(しり)びれ3棘12~13軟条。全長70センチメートルを超す大形のものがある。本種の稚魚は春から夏にかけて流れ藻につくことが知られており、産卵期は早春と考えられる。成魚は沿岸の岩礁地帯に生息し、夏場は小動物を捕食し、冬場は褐藻類ハバノリを好んで食べる。近縁種にテンジクイサキK. cinerascensがあるが、背びれ11棘12軟条、臀びれ3棘11軟条の違いで本種と区別できる。磯(いそ)釣りの対象魚で、煮物や焼き物などにされる。

[谷口順彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イスズミ」の意味・わかりやすい解説

イスズミ
Kyphosus vaigiensis

スズキ目イスズミ科の海水魚。全長 70cmになる。体は楕円形で側扁する。メジナに体形が似るが,より大きくなる。体色は青褐色で,体側に多くの黄色の縦走線が走る。背鰭棘数はメジナより少ない。本州中部以南,インド・西太平洋に分布。食用とされ,冬の磯釣りの対象魚としても有名。

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