デジタル大辞泉
「いで」の意味・読み・例文・類語
いで[感]
[感]
1 対象をある行動に誘ったり、促したりする気持ちを表す。さあ。どうぞ。
「―、君も書い給へ」〈源・若紫〉
2 思い立って行動しようとする気持ちを表す。さあ。どれ。いざ。
「橘の古婆の放髪が思ふなむ心愛し―我は行かな」〈万・三四九六〉
3 強く心に感じたときの気持ちを表す。いや。いやもう。
「―、あな心憂」〈枕・一三八〉
4 自分の心にそぐわないとき、また相手に同意できないときなど、否定的な気持ちを表す。いや。さあ。
「―、さも侍らず」〈大鏡・序〉
5 改まって事柄を述べるときに用いる。さて。そもそも。
「―、またいみじく侍りしことは」〈大鏡・道長下〉
いで[接助]
[接助]活用語の未然形に付く。
1 打消しを表しながら下に続ける意を表す。…ないで。…ずに。
「問ひも致さ―、不念なことを致いた」〈虎明狂・末広がり〉
2 (「いでは」「いでも」の形で)打消しの仮定条件を表す。…なくても。
「わたしや子供は何着―も、男は世間が大事」〈浄・天の網島〉
[補説]「ずて」が音変化した打消しの助詞「で」の前に伴われるn音が独音の母音iに転じて成ったという。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いで
- 〘 感動詞 〙
- ① 人をある行動に誘う、またはある行動を起こすよう請い求める気持を表わす。いや。さあ。
- [初出の実例]「且曰はく、『圧乞(イデ)、戸母(とじ)、其の蘭(あららき)一茎(ひともと)』といふ」(出典:日本書紀(720)允恭二年二月)
- 「いで、君も書い給へとあれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ② みずから思い立って行動しようとする気持を表わす。決意、決心などを表わすこともある。さあ。どれ。どれどれ。いざ。
- [初出の実例]「橘の古婆(こば)の放髪(はなり)が思ふなむ心愛(うつく)し伊弖(イデ)吾(あれ)は行かな」(出典:万葉集(8C後)一四・三四九六)
- 「すいさんな、いでめに物みせう」(出典:虎明本狂言・雁盗人(室町末‐近世初))
- ③ 強く嘆き、または感動する気持を表わす。事の意外さに驚き嘆く気持の場合が多い。いや。いやもう。いやまあ。
- [初出の実例]「いで、あなにく。人あまたもたるは歎き負ふなり」(出典:落窪物語(10C後)二)
- ④ その事態や、また、いだいた気持などを、疑い否定する気持を表わす。否定表現を伴うことがある。さあ。いや。いやもう。
- [初出の実例]「伊田(イデ)何かここだはなはだ利心(とごころ)の失(う)するまで思ふ恋ゆゑにこそ」(出典:万葉集(8C後)一一・二四〇〇)
- 「いで、およずけたる事は言はぬぞよき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ⑤ 改めて、ことばを話し出すとき、物語の冒頭などに用いる。さて。そもそも。
- [初出の実例]「いで、またいみじく侍りしことは」(出典:大鏡(12C前)六)
いでの語誌
中世末期、近世初期頃の狂言資料においては、ほぼ②の用法に限られており、それも「いで物見せう」「いで食らはう」というような固定化された用法が多いことや、文体的には語りの部分へ集中していることなどから、かなり衰退していたものと思われる。
い‐で
- 〘 接続助詞 〙 活用語の未然形を受け、打消の意を表わしながら下に続ける。「…しないで」の意。主として中世末期から近世にかけて用いられた。
- [初出の実例]「此言はようも不心得事をば、注しもせいてをいたそ」(出典:史記抄(1477)三)
- 「山へゆき、しばをからいでもどるならば」(出典:説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)上)
いでの語誌
語構成に関して、「で」が打消の接続助詞であることはたしかであるが、「い」の部分に関して、( イ )「で」の前にあった鼻音がはっきり音節化し、独立して「い」となったとするもの、( ロ )鼻濁音の「で」の鼻音性が薄れたため近似の音「い」で代用したとするものなど諸説がある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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