イネス石(読み)いねすせき(その他表記)inesite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イネス石」の意味・わかりやすい解説

イネス石
いねすせき
inesite

繊維状ないし柱状結晶が集合して脈をなす鉱物。浅熱水鉱脈鉱床中に石英や菱(りょう)マンガン鉱などと産する。日本では静岡県下田(しもだ)市河津鉱山のものがこの代表例である。また、変成層状マンガン鉱床を切る脈として産することもある。新鮮なときは桃色であるが、大気に長くさらされると表面褐色ないし黒褐色に変化する。名称は、この鉱物の特徴的な色と産状から、肉色の繊維という意味のギリシア語に由来する。

松原 聰]


イネス石(データノート)
いねすせきでーたのーと

イネス石
 英名    inesite
 化学式   Ca2Mn7Si10O28(OH)2・5H2O
 少量成分  Al,Mg,Fe
 結晶系   三斜
 硬度    6
 比重    3.0
 色     桃
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    一方向に完全,一方向に良好
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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