イワタバコ(読み)いわたばこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワタバコ」の意味・わかりやすい解説

イワタバコ
いわたばこ / 岩煙草
[学] Conandron ramondioides Sieb. et Zucc.

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の多年草。葉は根際につき、楕円(だえん)状卵形で基部は翼のある柄となり、表面は光沢があってしわがよる。冬は葉が丸まって球となり越冬する。花茎は長さ10~30センチメートル。6~8月、散形花序をつくり紅紫色の花を横向きに開く。花冠は深く5裂し、裂片は反り返る。丘陵帯から山地帯の日陰や湿った岩壁に生え、秋田・岩手県以南の本州、四国、九州に分布する。名は、岩場に生え、葉がタバコの葉に似るのでいう。

 関東地方以西の本州の太平洋側には、花茎、花序、葉の裏面に毛のある変種があり、ケイワタバコという。なお、イワタバコ属は花冠は放射相称雄しべは5本あり、アジアに2種分布する。

[高橋秀男 2021年7月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワタバコ」の意味・わかりやすい解説

イワタバコ(岩煙草)
イワタバコ
Conandron ramondioides

イワタバコ科の多年草。日本特産で関東地方以南に生える。谷間の湿った岩壁に着生する。葉は根生して垂れ下がり,楕円形で縁に不規則な鋸歯があり,多少ちぢれてつやがある。夏に,葉の間から1~2本の花茎を出し,数個の紫色の花をつける。花冠は深く5裂し,ナスの花に似ていて美しい。葉がタバコと似て岩の上に生えるのでこの名がある。この科の植物には葉がキリの葉に似て,花は筒状でやや唇形イワギリソウ,樹木に着生するシシンラン,ブラジル原産のグロキシニヤ (オオイワギリソウ) などがある。

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