インスタントラーメン(読み)いんすたんとらーめん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インスタントラーメン」の意味・わかりやすい解説

インスタントラーメン
いんすたんとらーめん

日本で、第二次世界大戦後開発された加工麺(めん)製品の一種で、即席麺の代表。1958年(昭和33)サンシー殖産(現在の日清食品)からチキンラーメンが発売されて人気を博し、インスタント食品時代の先駆けとなった。その後多くの種類が登場し、世界にも広く普及している。原料小麦粉主体で、これにスープや、野菜、肉類などの副材が添付、あるいは混合されている。添付品も、ほとんどが乾燥品であるが、ペースト状のもの、油脂レトルト食品が添えられていることもある。製造には、まず中華麺をつくり、これを蒸して、麺のデンプンをα(アルファ)化し、その後乾燥する。また、麺は、細かく波状に加工し、包装しやすい形に成形する。一部に蒸さずに乾燥する棒状の麺もある。乾燥法は大別して、油で揚げるものと、熱風乾燥がある。前者は油揚げ麺、後者はα麺とよばれている。また、麺にスープの味をしみ込ませてから乾燥するものと、スープを別添えするものがある。初期は、味をしみ込ませたものが多かったが、現在では、多くがスープ別添え形となった。このほうが風味のよいものができるためである。形状は、麺を煮てスープを加えるものと、湯を注ぐだけでラーメンになるものとがある。前者は麺を湯に入れて3分ほど煮たあと、火を止め、スープを加えてつくりあげるものが主流である。後者はカップラーメン形が主である。インスタントラーメンの技術を利用した応用製品として、うどん、そば、焼きそばスパゲッティなどもつくられている。

 インスタントラーメンは、栄養的にみるとエネルギーは高いが、一方、野菜、肉類などは量が少なく、できあがった麺に、野菜や肉、卵などを加えて補うか、あるいは、副菜にそのようなものを添えることが望ましい。また食塩が多く、この点も注意する必要があるが、食塩はスープに多いので、スープの量を加減するなどして気をつける。インスタントラーメンのうち油揚げ麺は、保存中の味の変化が少ない反面、油の酸化が問題となる。したがって、賞味期間内に消費することが望ましい。しかし、直射日光に当たったり、極端に高温多湿の場所に置かれたりすると、賞味期間内でも変質することがあるから、保管には十分注意が必要である。

河野友美・山口米子]

『インスタントラーメン発明記念館編『インスタントラーメン発明物語』(2000・インスタントラーメン発明記念館、旭屋出版発売)』『日本即席食品工業協会監修『日本が生んだ世界食! インスタントラーメンのすべて』(2004・日本食糧新聞社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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