改訂新版 世界大百科事典 「ウメガサソウ」の意味・わかりやすい解説
ウメガサソウ (梅笠草)
Chimaphila japonica Miq.
低地の林中に生えるイチヤクソウ科の常緑多年草。初夏にウメに似た白色の花を下向きに開く。茎は直立して高さ5~10cm,年次を異にする葉が3~6枚ずつ2~3段につく。葉は長楕円形または披針形で長さ2~3.5cm,幅0.5~1.3cm,革質,先はとがり,とがった鋸歯がある。茎の先に花茎を伸ばし1個,まれに2個の花がつく。花は広鐘形で径約1cm,離生する5枚の花弁と10本のおしべがある。子房は無毛。花柱は短くて太い。果実は成熟すると上向きになり,扁平な球形で,径6~7mm,5裂する。北海道~九州,朝鮮半島,サハリン,千島,中国(中部・東北)に分布する。
オオウメガサソウC.umbellata(L.)W.Barton(英名spotted wintergreen)は葉の先は鈍く,下半分に鋸歯がなく,子房は軟毛が密生する。茨城県以北の太平洋側,北海道,北アメリカ,ヨーロッパに分布し,薬用に供された。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報