日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラシマソウ」の意味・わかりやすい解説
ウラシマソウ
うらしまそう / 浦島草
[学] Arisaema thunbergii Bl. subsp. urashima (Hara) Ohashi et J.Murata
サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の多年草。球茎があり、多数の子球をつけて繁殖する。葉は1枚、偽茎は短く、葉身は多数の小葉を鳥足状につける。花期は4~5月。仏炎包(ぶつえんほう)は紫褐色で筒部は白色を帯びる。花序付属体は全体に平滑で、先が細長く伸びて糸状となり長さ30センチメートルに達する。北海道から本州、四国、九州の一部に分布し、林下や林縁に生える。亜種のナンゴクウラシマソウsubsp. thunbergiiは紀伊半島以西の本州、四国、九州とその周辺地域に分布し、付属体の下部の太い部分が通常乳白色で、ひだ状の細突起を密生し、葉にしばしば白色の斑(ふ)があることで区別される。また、九州南部および山口県には、全体に小形で、仏炎包内面に丁字(ていじ)形の白斑(はくはん)があるヒメウラシマソウA. kiushianum Makinoがある。和名のウラシマは、糸状の付属体を浦島太郎の釣り糸に例えたものである。
[邑田 仁 2022年1月21日]