ウリヤンハイ(その他表記)Uriankhai

精選版 日本国語大辞典 「ウリヤンハイ」の意味・読み・例文・類語

ウリヤンハイ

  1. ( Urjanhaj ) 中国、元・明・清代、興安嶺の東に栄えたモンゴル系の一部族。しばしば明の北辺に侵入したが、一六世紀半ばジュンガル、清に征服された。兀良哈

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改訂新版 世界大百科事典 「ウリヤンハイ」の意味・わかりやすい解説

ウリヤンハイ
Uriankhai

モンゴル高原とその周辺に居住してきた北方民族。Uriyangkhaiとも書き,兀良哈と漢音訳される。12~13世紀ころにヘンテイ山脈方面からバイカル湖周辺にかけて居住した。狩猟民の森のウリヤンハイと遊牧民のウリヤンハイがおり,その多くは早くからチンギス・ハーンに服属していた。後者の一部のものはブルハン山(ヘンテイ山脈中の一山)に葬られたとされるチンギス・ハーンとその子孫の墓を守ったと伝えられている。また彼らの別の一部は中国東北の洮児河(とうじが)上流に封ぜられ,その子孫は1389年(洪武22)に明朝に征服され,兀良哈(ウリヤンハ)三衛中の朶顔(ドヤン)衛とされた。朶顔衛は他の2衛とともに15世紀初め長城付近に南下しモンゴルとともに明に侵入したが,明に討たれ,のちオイラート部にも攻撃されて敗れた。さらにのちモンゴルのダヤン・ハーンに服属した。清代にはハラチン三旗とトゥメット左翼旗となり,現在は農業,牧畜を営んでいる。一方,西部ウリヤンハイはジュンガルと清の支配を経て,1914年にロシアの保護領下に入り,61年ソ連のトゥバ自治共和国(現,共和国)を構成した。彼らトゥバ族はタンヌ・ウリヤンハイと称されることがあり,狩猟,牧畜,農業を営む。この仲間モンゴル国のフブスグル湖周辺にも居住している。同国西部にはまたアルタイのウリヤンハイと称されるものがおり,牧畜に従事している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウリヤンハイ」の意味・わかりやすい解説

ウリヤンハイ
うりやんはい
Uriyanghai

中国、元代に外モンゴルのオノン河源にいたが、明(みん)代に興安嶺(こうあんれい/シンアンリン)東方に移住したモンゴル系の民族。兀良哈とも書く。明の洪武帝(こうぶてい)はこの民族のために1389年、泰寧(たいねい)、福余(ふよ)、朶顔(ドヤン)の3衛からなるウリヤンハイ三衛を置き、元の帝室の一族の遼(りょう)王阿札失里(アジャシリ)らに治めさせた。以後ウリヤンハイ三衛は明の北方防衛の拠点としてのほかに、軍馬供給地としても重視されたが、モンゴル本土からの影響が強く、明に対して叛服(はんぷく)を繰り返す状態を続けた。15世紀中ごろにオイラートのエセンに攻められて壊滅的打撃を受けた。明末清(しん)初にウリヤンハイ三衛は内モンゴル族の圧迫を受けて衰退し、そのなかに併合されて消滅した。なお、エニセイ川上流域の唐努(タンヌ)および烏梁海(ウリヤンハイ)と称する諸民族(現在のロシア連邦トゥイバ共和国の住民)も、もともとウリヤンハイと同族であるといわれる。

[若松 寛]

『羽田明・佐藤長他訳注『騎馬民族史3』(平凡社・東洋文庫)』

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ウリヤンハイ」の解説

ウリャンハイ
Wuliangha 兀良哈

ウリャンカともいう。明代に大興安嶺東方に居住していたモンゴル系の部族。明初にウリャンハイ三衛が置かれ,明に入貢しながらも,しばしば明の北辺に侵入したが,オイラトやタタル(韃靼(だったん))の圧迫を受けて衰退した。

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百科事典マイペディア 「ウリヤンハイ」の意味・わかりやすい解説

ウリヤンハイ

トゥバ

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世界大百科事典(旧版)内のウリヤンハイの言及

【タンヌ・ウリヤンハイ】より

…モンゴリア西北部,タンヌ・オーラ山脈北方のウリヤンハイ族の居住地。現在のロシア連邦トゥバ共和国の占める地域を指す。…

【トゥバ族】より

…中国史料の伝える都播(都波)の末裔とみられるが,隣族のトファラルTofalary(カラガスKaragasy)やコイバルKoibalyもトゥバと自称する。南隣のモンゴルではこれをウリヤンハイ(烏梁海)と呼ぶ。ロシア人による旧称ソヨートSoiotyは部族名ソヨンに由来する(サヤン山脈の名称も同じ)。…

※「ウリヤンハイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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