日本大百科全書(ニッポニカ) 「エアロビクス」の意味・わかりやすい解説
エアロビクス
えあろびくす
aerobics
酸素を体内に供給しながら、できるだけ長く続けることを目的とした全身運動のこと。本来は、陸上競技の短距離走時のように、筋肉が酸素を使わない無酸素運動(アネロビクス)に対し、有酸素運動を意味する医学用語である。この運動の提唱者はアメリカの医学者クーパーKenneth H. Cooperである。ジョギング、水泳、サイクリング、スキーなど、全身を使って、しかも時間をかけて行う運動は、心臓や肺の機能を高め、血管の退化を防ぎ、酸素を体のすみずみまで送ることによって組織や細胞の働きがより活発になることが広く認められている。エアロビクス理論の特徴は、各種目の運動量を点数で表し、年齢、性別、体力水準に応じた、健康を高めるための運動プログラムをわかりやすく示していることにある。運動の点数化にあたっては、毎分体重1キログラム当り7ミリリットルの酸素消費量を1点とし、健康の維持・増進のためには、成人男子で1週30点、女子で24点の運動量が必要とされている。
たとえば、次の運動はいずれも5点の価値がある。ランニング1.6キロメートル8分以内、水泳550メートル15分以内、サイクリング8キロメートル20分以内、縄とび10分。また、エアロビクス・ダンスを活発に踊れば、25分で5点の運動量がある。エアロビクス・ダンスは、動きがきわめて変化に富んでおり、運動それ自体にもリズムにあわせて踊る楽しさがあり、さらに自分で運動量をコントロールできることから、女性だけでなく、だれにでも勧められる運動である。
[池田 勝]