エチゼンクラゲ(読み)えちぜんくらげ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチゼンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

エチゼンクラゲ
Nemopilema nomurai

刺胞動物門鉢虫綱根口クラゲ目エチゼンクラゲ科。傘は褐色の半球状で,直径 2m,重さ 150kgにもなる。8本の口腕は短く,おのおのに多数の糸状突起がついている。中国,朝鮮半島沿岸に産し,繁殖地の黄海およびポー(渤)海から対馬暖流(→暖流)に乗って北海道西岸まで日本海を北上する。ときに,津軽海峡を経て東北地方太平洋岸を南下する。地方によっては食用に供する。刺胞毒(→刺胞)も強めであるが,むしろ定置網に大量に入ってしまい網が破れるなどの漁業被害が大きい。(→クラゲ刺胞動物鉢虫類無脊椎動物

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチゼンクラゲ」の意味・わかりやすい解説

エチゼンクラゲ
えちぜんくらげ / 越前水母
[学] Stomolophus meleagris

腔腸(こうちょう)動物門ハチクラゲ綱根口(ねくち)クラゲ目エチゼンクラゲ科のクラゲ。きわめて大形となり、傘の直径1メートル、重さ150キログラムにも達することがある。傘は半球状で、寒天質はきわめて堅く、また厚い。傘縁は約120の縁弁に分かれ、各8分区ごとに1個ずつ感覚器がみられる。8個の口腕は短く、おのおの2翼に分かれており、8個の肩板があり、これらの口腕や肩板には多くの小触手や糸状付属物がみられる。中国北部および朝鮮半島南部沿岸から日本海にかけて分布し、ときには北海道沿岸にまで達する。食用にするクラゲの多くはビゼンクラゲであるが、本種もビゼンクラゲと混獲されて食用とされることがある。また、タイの釣り餌(え)として用いられることがある。

[山田真弓]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android