宮崎県南西部、霧島山北麓(ほくろく)にある市。1966年(昭和41)飯野(いいの)、加久藤(かくとう)、真幸(まさき)の3町が合併し、えびの町が成立。1970年市制施行。市名は、当市に属する霧島山中のえびの高原に由来する。市域は、南部の霧島山、中央部の川内(せんだい)川が流れる加久藤盆地、北部の矢岳(やたけ)高原に大別され、山間盆地ながら広く沖積平野面が分布する。JR吉都(きっと)線、肥薩(ひさつ)線、国道221号が熊本県人吉(ひとよし)市、宮崎県小林市を結び、国道268号と447号が鹿児島県伊佐(いさ)市と連絡する。九州自動車道は、えびのジャンクションで宮崎自動車道を分岐する。
古くは日向(ひゅうが)国真幸院(まさきのいん)とよばれ、江戸時代は薩摩(さつま)藩領であった。主産業は農林業と畜産で、当市の産米は県内でもっとも良質とされる。市街地は、飯野、加久藤、京町(きょうまち)(真幸地区)の3中心があり、京町は宮崎県下最大の温泉郷で、京町温泉や吉田温泉がある。えびの高原は霧島観光の拠点として知られ、霧島錦江湾国立公園(きりしまきんこうわんこくりつこうえん)に含まれている。面積282.93平方キロメートル(一部境界未定)、人口1万7638(2020)。
[横山淳一]
『『えびの市史』全4巻(1989~1998・えびの市)』
宮崎県南西部にある市。1966年に飯野,加久藤,真幸(まさき)の3町が合体してえびの町となり,70年に市制。人口2万1606(2010)。市域の中心を東西約20km,南北約5kmの細長い形の加久藤盆地(真幸盆地ともいう)が占め,盆地内を川内(せんだい)川が西流する。えびの市飯野地区の木崎原は中世の日向において,伊東氏と島津氏が決戦した古戦場で,この戦い以後伊東氏は衰退,島津氏は日向支配のきっかけをつかんだ。同市は近世には薩摩藩領であった。JR吉都(きつと)線が走る。九州自動車道が通じ,宮崎自動車道が分岐する。産業の中心は農業で,農耕地は市域の12%。米,サトイモ,キャベツなどの生産のほか畜産,酪農も盛ん。京町温泉,吉田温泉は県内で最も古い温泉地であるが,近年えびの高原は温泉地,休養地として有名になってきた。甑(こしき)岳の針葉樹林,えびの高原のノカイドウ自生地は天然記念物。
執筆者:下村 数馬
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