エラストマー(読み)えらすとまー(英語表記)elastomer

翻訳|elastomer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エラストマー」の意味・わかりやすい解説

エラストマー
えらすとまー
elastomer

常温付近でゴム弾性を示す高分子物質総称。elastic(伸縮性のある)とpolymer(重合体)を合成した用語。ゴムは生ゴム(原料ゴム)とエラストマー(ゴム弾性体・加硫ゴム)に分けて考えられる。一般に生ゴムは屈曲性の高い非晶性鎖状高分子であり、外力によって分子間にずれが起こり、外力を除いたときに一部は元に戻らなくなる。すなわち塑性を示す。一方、エラストマーは生ゴムがゆるやかに架橋した三次元網目状高分子構造をもち、小さな外力で大きく変形し(弾性率は1~3メガパスカル、伸びは数倍)、外力を除くと、ただちにもとの形に戻る性質がある。エラストマーは、可逆的な変形が可能なゴム弾性を示す物質である。これに対して変形がもとの形に戻らず塑性を示す物質はプラストマーという。

[福田和吉]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エラストマー」の意味・わかりやすい解説

エラストマー
elastomer

ゴムおよびその他常温において弾性を示す物質の総称。エラストマーは力が加えられると急速に数百%伸び,力を除くとすぐにもとの長さに収縮する。このような特性を示すためには,エラストマーを構成する物質の分子は引張られていない状態では無定形であり,分子間の橋かけにより網目構造をもつ高分子化合物でなくてはならない。天然ゴム,各種合成ゴムは代表的なエラストマーである。エラストマーに対して,可塑性を示す物質をプラストマーということがある。

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