エリア随筆(読み)エリアずいひつ(英語表記)The Essays of Elia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリア随筆」の意味・わかりやすい解説

エリア随筆
エリアずいひつ
Essays of Elia, The Last Essays of Elia

イギリス随筆家 C.ラムの随筆集。第1集 1823年,後集 33年刊。そのほとんどは 20年創刊の『ロンドン・マガジン』に発表されたもので,作者自身の体験を中心に,人事一般についての回想省察を,絶妙なユーモアにしみじみとしたペーソスを交えながら,独特の文体で綴っており,イギリス随筆文学中の白眉とされる。少年時代の母校の思い出を述べた『35年前のクライスツ・ホスピタル校』 Christ's Hospital Five and Thirty Years Ago,定年退職後の感慨を語る『定年退職者』 The Superannuated Man,青春時代の苦しかった生活の回想『古陶器』 Old China,軽妙な随想を展開した『焼き豚論』A Dissertation upon Roast Pigや『煙突掃除人をたたえて』A Praise of Chimney Sweepers,独身の寂寥をまぎらす『幻の子供たち』 Dream Childrenなどは,特に名作の名が高い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリア随筆」の意味・わかりやすい解説

エリア随筆
えりあずいひつ
The Essays of Elia

イギリスの随筆家チャールズ・ラムの随筆集。1820~1822年『ロンドン雑誌』に連載したものをまとめ、正編は1823年、続編は1833年刊。都会的感覚をしみじみとしたペーソスで包み、イギリス随筆文学の最高峰に位する。知友、書物、芝居など身辺雑事を独特な筆致で描いているが、なかでも「夢の子たち」「古磁器」「焼豚論」「停年退職者」などがよく知られている。

外山滋比古

『戸川秋骨訳『エリア随筆』(岩波文庫)』

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