改訂新版 世界大百科事典 「おいらせ」の意味・わかりやすい解説
おいらせ[町]
青森県東部,上北郡の町。2006年3月下田(しもだ)町と百石(ももいし)町が合体して成立した。人口2万4211(2010)。
下田
おいらせ町西部の旧町。上北郡所属。人口1万4171(2005)。三本木原台地の南東部を占め,三沢市の南,八戸市の北西に接する。町の南部を奥入瀬(おいらせ)川が東流し,川沿いの狭い沖積地を除き大部分が標高30~50mの洪積台地からなる。台地は古くから南部駒の産地として知られたが,第2次大戦後は衰退した。木ノ下にある気比神社は馬を飼う農家の信仰が厚く,毎年旧暦6月1日,15日の大祭には絵馬を奉納する信者でにぎわう。現在は米作を中心に野菜,タバコの栽培や酪農,肉牛飼育が行われている。1964年に八戸地区新産業都市に指定され,多くの企業が進出し,住宅地の開発も進んだ。JR東北本線(東北新幹線,八戸-青森間開通後は,青い森鉄道となる)が通じる。
百石
おいらせ町東部の旧町。上北郡所属。人口1万0001(2005)。北は三沢市,南は八戸市に接する。奥入瀬川北岸,三本木原台地の東端に位置し,東は太平洋に臨む。中心集落は奥入瀬川沿いの本町で,JR東北本線(現青い森鉄道)下田駅(旧下田町)から近く,国道45号,338号線が通る。砂浜海岸沿いには,近世中期,イワシ漁が盛んになるにつれて形成された一川目(ひとかわめ),二川目などの集落があり,さらに北の三沢市へ入って三川目から六川目までの集落が続く。〈やませ〉と呼ばれる夏の冷湿な偏東風のため,米作はふるわないが,海岸段丘上では畑作が盛んで,ニンジン,キャベツ,イチゴの栽培が行われる。1964年に八戸地区新産業都市の一部に指定され,75年に工業団地が海岸部に完成した。根岸にあるイチョウの老木は,恐山に向かう円仁(慈覚大師)が突き立てた杖が根付いたものという伝説がある。
執筆者:佐藤 裕治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報