オオシマザクラ(読み)おおしまざくら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオシマザクラ」の意味・わかりやすい解説

オオシマザクラ
おおしまざくら / 大島桜
[学] Cerasus speciosa (Koidz.) H.Ohba
Prunus lannesiana Wils. var. speciosa Makino

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。高さ8~15メートルになる。葉は倒卵状楕円(だえん)形、長さ8~13センチメートルで毛がなく、先は尾状にとがり、縁の鋸歯(きょし)の先は芒(のぎ)状になる。3~4月、緑色若葉と同時に、径3.5~4センチメートルの白色の5弁花が散房状に開く。伊豆諸島伊豆半島房総半島に分布する。塩害大気汚染にやや強い。和名伊豆大島に多いからで、薪炭用に植えられることから、タキギザクラの名もある。庭に植え、サクラ接木(つぎき)の台木にする。葉は塩漬けにして桜餅(さくらもち)を包む。

小林義雄 2019年12月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオシマザクラ」の意味・わかりやすい解説

オオシマザクラ(大島桜)
オオシマザクラ
Prunus lannesiana var.speciosa

バラ科の落葉高木。伊豆諸島を中心に,伊豆半島,三浦半島,房総半島南部などに生育する。幹は高さ 15mほどになり,よく枝を出し,樹皮は黒っぽい灰褐色で横向きの皮目が目立つ。葉は互生し,倒卵状楕円形で長さ8~13cm,先はやや尾状にとがり,縁にはあらい鋸歯がある。春,葉の展開とともに開花し,白色あるいはやや淡紅色の数個の花を散房状につける。花は両性で,径 3.5~4cmと同属他種よりやや大きく,5片の萼片,5枚の花弁,多数のおしべ,そして長い花柱をもった子房からなる。果実は黒紫色に熟す。

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