改訂新版 世界大百科事典 「オオヤマレンゲ」の意味・わかりやすい解説
オオヤマレンゲ
Magnolia sieboldii C.Koch ssp.japonica Ueda
深山幽谷にまれに見られるモクレン科の落葉灌木。6月頃,可憐で清楚な花をつける。樹高1~3mで,茎は斜上ぎみに伏して伸びる性質がある。葉は互生し,倒卵形で先端は急にとがり,長さ7~12cm。花は白く,頂端に単生し,うつむきかげんに咲く。おしべは淡紅色で白い花弁に映える。めしべはモクレン科としては少なく約10個。集合果(実)は9~10月に熟し,紅色の種子が2個,各果実に入っている。谷川連峰から南は屋久島まで,および中国南部に分布し,冷温帯上部から亜高山帯にかけて生育する。欧米や日本で栽培されてオオヤマレンゲ(英名Siebold's magnolia)と呼ばれているのは朝鮮原産のオオバオオヤマレンゲM.sieboldii ssp.sieboldiiで,全体に大柄でおしべは深紅色である。両方ともに茶花として用いられる。ホオノキとの雑種といわれるウケザキオオヤマレンゲM.×wieseneriは時に栽培され,同様に茶花に使われる。
執筆者:植田 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報