主材の味を引き立て、また栄養価を高めるために、ほかの適当な材料を加えてつくる料理。その加えるものによって「○○和え」という。和え物は材料と味つけ材料との調和がたいせつである。
「酢和え」は多く用いられ、種類も多い。鱠(なます)は魚貝類、膾(なます)は精進材料と、古くは区別していた。なますの付け汁は二杯酢、三杯酢、煎(い)り酒、また果汁に塩またはしょうゆを加えたものなどがある。
「木の芽和え」は白みそ4、みりん1、だし汁1、砂糖1.5、卵黄1の割合であわせ、火にかけ、練り、青寄せ(青い野菜をすって水にさらしたもの)で色をつけ、すった木の芽(サンショウの若芽)を加え、イカ、タコ、タケノコなどを和える。材料は小口切りか、賽(さい)の目に切り、下煮しておく。
「白(しら)和え」は、豆腐1丁を湯通しして、ふきんに包んで水気をとり、裏漉(うらご)しにかける。白ごま大さじ4杯を煎り、すり鉢ですり、豆腐を加え、砂糖と塩を少量加え、すり混ぜる。ニンジン、シイタケ、キクラゲ、こんにゃくなどをせん切りにし、薄味を加え、冷めたら汁を切り、和える。
「酢みそ和え」は白みそ5、砂糖1.5、酢2.5、だし汁1、卵黄1、すりごま少量をよく混ぜて、湯煎(ゆせん)しておく。赤みそを用いる場合は砂糖を多くする。アサリのむき身、アオヤギなど貝類に用いることが多い。「からしみそ」は、この酢みそにからし少々を加える。タコ、コイの洗い、エビ、イカ、貝類に向く。
「うに和え」は、練りうにを卵黄で溶いて延ばし、イカの細づくり、クラゲの塩漬けを戻して塩出しをし、50~60℃の湯をさっと通したものを水切りして、適当な大きさに切り、和える。
「黄金(こがね)和え」は、ゆでた卵黄を裏漉しにかける。ニンジン、ウド、キクラゲなどをせん切りにして調味し、冷ましてから汁気をよくとり、卵黄で和える。
「納豆和え」は、納豆を細かく刃たたきし、からしじょうゆで味つけをし、イカの細づくりやマグロの角づくり、ヒラメ、シラウオ、キスなどを和える。
「みぞれ和え」は、ダイコン、キュウリなどをおろし、水気を絞って、卵黄少々を加え、塩、薄口しょうゆ、わさびで味を調え、アオヤギ、貝柱、魚、野菜など酢でしめたものを和える。
「磯(いそ)和え」は、焼きのりを針のように細切りにするか、もんで細かくしたものを、イカ、ヒラメ、キス、カレイ、サヨリなどの昆布じめや酢洗いにしたものに用いる。
「東海寺和え」また「沢庵(たくあん)和え」は、新沢庵を賽の目に切り、それに和える白身の魚も細かく切り、塩を加え、生酢で洗い、細かく切って和える。沢庵和尚(おしょう)は東海寺(東京都品川区)の住職であったのでこの名がある。
「酒盗(しゅとう)和え」は、キュウリなどの野菜を、塩辛の汁だけ、または塩辛も包丁でたたき切りにしたもので和える。
「からすみ和え」は、からすみを小さく賽の目に切り、白身魚、イカなどを細かく切り、塩をして酢洗いして和える。
「柿酢(かきす)和え」は、カキの皮をむき、おろし金でおろし、三杯酢で混ぜ合わせたもので材料を和える。
「マヨネーズ和え」は、マヨネーズだけ、またはトマトケチャップを加えたり、青菜をすって加えたものなどで白身魚や野菜を和える。
[多田鉄之助]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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