ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オキボ」の意味・わかりやすい解説
オキボ
Okigbo, Christopher
[没]1967.8. ナイジェリア,ンスッカ
ナイジェリアの詩人。イボ族出身。1956年イバダン大学卒業後,大学図書館や政府の情報局などで働き,雑誌『トランジション』の編集にも携わった。大学時代に学んだギリシア,ラテンの古典詩(→ギリシア文学,ラテン文学)から,エズラ・パウンド,トマス・スターンズ・エリオットらの現代イギリス詩にいたるまでの西欧の詩に造詣が深く,同時にナイジェリアのイボ族の民間伝承にも詳しい。高度な技法を駆使し,音楽的で豊かな感性に満ちた独特の詩の世界を確立した。詩を支えるエッセンスの一つはある種の宗教意識で,みずからを母方の祖父の生まれ変わりだと信じていた。祖父はイボ族の民間信仰にみられる川の女神イドドに仕える僧であったといい,オキボによれば,詩を書くことはその僧としての役割を果たすことであった。1967~70年のビアフラ戦争時にビアフラ側に立って従軍し,1967年東部戦線で戦死した。没後出版された詩集『迷路,および雷の道』Labyrinths with Path of Thunder(1971)のほか,『天国の門』Heavensgate(1962),『限界』Limits(1964),『沈黙』Silences(1965)などがある。(→アフリカ文学)
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