オタリア(その他表記)Otaria byronia; South American sea lion

デジタル大辞泉 「オタリア」の意味・読み・例文・類語

オタリア(otaria)

アシカ科の哺乳類南アメリカ近海に分布。頭胴長2メートルほど。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オタリア」の意味・わかりやすい解説

オタリア
Otaria byronia; South American sea lion

食肉目鰭脚亜目アシカ科オタリア属。雄は体長約 2.8m,体重約 350kg,雌は体長約 2.2m,体重約 144kgに達する。出生直後の幼獣は体長 78~85cm,体重 11~15kgである。毛色は黄色がかった橙色。成獣の雄は成長するに従い毛色が濃くなり茶色がかった橙色を呈し,後頭部や胸部に生えるたてがみ状の長い毛はやや淡い色をしている。出生時は上毛が黒色,下毛が灰色がかった橙色である。性的成熟に達した雄は,頭部から肩部までが太く,がんじょうである。吻部は幅広く,やや上方にそり返っており,鼻口部が長い。門歯は上顎6本,下顎4本,犬歯は上顎と下顎に2本ずつ,頬歯は上顎 12本,下顎 10本である。繁殖期は生息場所によって異なり,早いもので9月,遅いもので3月である。繁殖場は特定され,継続して利用される。雄は繁殖場から広範囲に回遊すると推測される。洋上では単独あるいは群れをなして漂う。食性範囲は広く,おもに表層性および底生性魚類やイセエビ類,スルメイカ類,タコ類やクラゲ類などの無脊椎動物を捕食する。フォークランド諸島および南アメリカ大陸南端から西側ではペルー北部まで,東側ではブラジル南部までの沿岸に分布する。沿岸性で,海上では大陸棚やその斜面に出現する。また淡水域や氷河に迷入することがある。野生カリフォルニアアシカ輸出入が禁じられたため,その代替で飼育調教されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「オタリア」の意味・わかりやすい解説

オタリア
otaria
South American sea lion
Otaria flavescens

鰭脚(ききやく)目アシカ科の哺乳類。1属1種。吻(ふん)端が押しつぶされたようになり,他のアシカ科のものと異なる。雄は体長2.6m,体重400kg,雌2m,200kgに達する。体色は茶褐色からオレンジ色,ときに金色を呈する。南アメリカの太平洋,大西洋の両岸に分布し,太平洋岸はペルー中部以南,大西洋岸はウルグアイ以南に分布する。一年中沿岸域に生息し,沖合への回遊はない。繁殖期は12~1月で,授乳期間は6ヵ月~1年。繁殖期の雄は砂浜や小石,平たんな岩礁場になわばりを形成し,ハーレムを営む。1ハーレムに雌5~15頭が参加する。成熟年齢は雌4歳,雄7歳である。寿命は約20年。食性の幅は広く,カタクチイワシ,底生魚,イカ,ときにペンギンも捕食する。摂餌場は沿岸で,50mより浅い海域である。生息数は27万頭(1950-70調査)と推定。餌をめぐって人間との対立が古くからある。毛皮を目的に捕獲が行われている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オタリア」の意味・わかりやすい解説

オタリア
おたりあ
South American sea lion
[学] Otaria flavescens

哺乳(ほにゅう)綱鰭脚(ききゃく)目アシカ科の海産動物。別名パタゴニアアシカ。南アメリカのペルーから南回りにブラジルの沿岸までに分布する。体形、大きさともアシカとトドの中間形で、雄は体長2.5メートル、体重500キログラム以上になり、雌は体長2メートル以下である。体色は褐色で、吻(ふん)部は幅広く、雄は成長すると後頭部と胸部にたてがみ状の毛が生える。アシカに比べると攻撃性が強いが、飼育すると人になれ、芸も覚える。日本での飼育は1973年(昭和48)からで、子も生まれた。

[鳥羽山照夫]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「オタリア」の解説

オタリア
学名:Otaria byronia

種名 / オタリア
科名 / アシカ科
解説 / 沿岸性で、川や氷河周辺の淡水に入ることもあります。
体長 / 最大記録はオス2.8m、メス2.2m
体重 / オス300~340kg、メス最大144kg
食物 / 魚、イカ、クラゲ、ペンギンなど
分布 / 南アメリカのペルーからブラジルまでと、フォークランド諸島

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