ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オトウェー」の意味・わかりやすい解説
オトウェー
Otway, Thomas
[没]1685.4.14. ロンドン
イギリスの劇作家。牧師の家に生れ,オックスフォード大学を中退,俳優を志望。失敗して劇作に転じた。悲劇『アルシバイアディーズ』 Alcibiades (1675) ,『ドン・カルロス』 Don Carlos (76) などを発表したのち,ロンドンの生活に失望して,1678年軍隊に入り,オランダに渡る。翌年帰国,再び劇作に従事する。『みなしご』 The Orphan (80) は,双子の兄弟がみなしごの娘を愛し,最後には3人とも自殺するという悲劇で,好評を博した。代表作『ベニスは安泰』 Venice Preserved (82) は,ベニス政府転覆の陰謀に加担した男が,有力者の娘である妻への愛情と仲間への信義との板ばさみに悩み,破滅にいたるという内容。これらはいずれも韻文悲劇で,エリザベス朝悲劇を思わせるものと評されたが,作者自身は 33歳の若さで貧窮のうちに死んだ。ほかに喜劇『兵士の運命』 The Soldier's Fortune (81) ,モリエールやラシーヌの戯曲の改作がある。
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