オナガガモ(その他表記)pintail
Anas acuta

改訂新版 世界大百科事典 「オナガガモ」の意味・わかりやすい解説

オナガガモ
pintail
Anas acuta

カモ目カモ科の鳥。全長雄は約75cm,雌は約53cm。雄は頭がチョコレート色,前頸(ぜんけい)から腹にかけては白く,体は細かい白と黒の模様で銀色に見える。尾羽は黒く,名のように中央の1対が著しく長いのが特徴。くちばしは青灰色ユーラシア大陸,北アメリカ北部で繁殖し,冬季南方に渡る。日本には冬鳥として全国に渡来し,とくに近年渡来数が増加している。餌は水生植物の種子若芽などで,昼間池などで水底にある餌を逆立ちしてとっていることも多いが,主として夜間,水田湿地で採食する。潜水タカなどに襲われたとき以外は行わない。6~8月ころ,巣をツンドラの草むらなどの中につくり,1腹8~10個の卵を産む。抱卵日数は約21日。プリップリッとかミューミューと小声で鳴き合う。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナガガモ」の意味・わかりやすい解説

オナガガモ
Anas acuta; northern pintail

カモ目カモ科。全長 70cm(雄)。雄は頭部および後頸部が濃褐色背面脇腹白色と灰色の細かな横斑が密にある。胸腹部は白く,尾の下側は黒い。尾羽は黒く,中央の 2枚は特に長く伸びている。雌は全体に褐色の地味な羽色で,尾が短い。北半球の中部以北に広く繁殖分布し,中部以南から熱帯にまで南下して越冬する。日本には冬鳥(→渡り鳥)として多数渡来し,大きな河川や湖のほか沼,池,水田などに生息し,水面から水底,あるいは湿地で植物質をとる。(→ガンカモ類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナガガモ」の意味・わかりやすい解説

オナガガモ
おなががも / 尾長鴨
pintail
[学] Anas acuta

鳥綱カモ目カモ科の鳥。全長約70センチメートルで頸(くび)が他種より長く、体形も長飛行に適し、全北区に広く繁殖しているが、アフリカ、インド、南アジア、フィリピンにまで渡る。北アメリカから日本に渡来するものがあり、群集性が強い。南半球のケルゲレン島とクロゼット島にそれぞれ別の亜種が分化している。そのほか、キバシオナガガモはアンデス山地から南極圏のサウス・ジョージア島まで、ホオジロオナガガモは中央アメリカのアンティル諸島から南アメリカおよびガラパゴス諸島に、アカハシオナガガモはアフリカに分布している。

[黒田長久]


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百科事典マイペディア 「オナガガモ」の意味・わかりやすい解説

オナガガモ

ガンカモ科の鳥。翼長25cm。雄は黒色の長くとがった尾が顕著。雌の尾は長くない。ユーラシア〜北米大陸の中部以北で広く繁殖し,冬は南へ渡る。日本には冬鳥として渡来し全国の湖沼や池に多い。おもに植物質を食べる。

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