改訂新版 世界大百科事典 「アンティル諸島」の意味・わかりやすい解説
アンティル[諸島]
Antilles
カリブ海を弧状にめぐる多数の島々からなり,カリブ諸島Caribbeesともいわれる。大アンティル諸島(キューバ,ジャマイカ,イスパニオラ島,プエルト・リコ),小アンティル諸島(バージン諸島からベネズエラ沖の島々まで)の総称であるが,これらとフロリダ半島南東のバハマ諸島を合わせて西インド諸島といわれる。ほとんどの地域が一年中貿易風,海風の影響下にあり,快適で過ごしやすく,サンゴ礁,熱帯植物などの美しい自然景観に恵まれている。
ヨーロッパでは,中世から大西洋の向こうにはアンティリアAntiliaと呼ばれる土地があると想像されていたが,コロンブスの新世界発見後,スペイン人がハイチをアンティリアにあて(1493),1502年の地図では諸島をスペイン語でアンティリャスAntillasと呼んだ。また小アンティル諸島のうちグレナダから北西にある島々は貿易風の恵みをうけるのでバルロベントBarlovento諸島,英語でウィンドワード諸島と呼び,ベネズエラ沖の島々をソタベントSotavento諸島(〈風下〉の意),英語でリーワード諸島と呼んでいる。スペイン人はおもに大アンティル諸島を征服・植民したが,小アンティル諸島では原住民を奴隷として徴発するばかりで,ほとんど植民を行わず,その後イギリス,フランス,オランダなどが進出した。
→カリブ海[歴史]
執筆者:柳町 晴美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報