オホーツク海高気圧(読み)オホーツクかいこうきあつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オホーツク海高気圧」の意味・わかりやすい解説

オホーツク海高気圧
オホーツクかいこうきあつ
Okhotsk high

おもに夏季オホーツク海で形成される停滞性の高気圧。日本の梅雨は,このオホーツク海高気圧太平洋高気圧の間にできる梅雨前線によるものだが,オホーツク海高気圧の年ごとの出現変動が大きく,梅雨期間でも現れないことがある。対流圏上層では偏西風帯気圧の尾根や高気圧になっていることが多く,下層では低温多湿で海洋性寒帯気団を形成する。この高気圧から吹き出す北東風東北地方の太平洋側などでやませと呼ばれ,梅雨寒農作物冷害をもたらす。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オホーツク海高気圧」の意味・わかりやすい解説

オホーツク海高気圧
おほーつくかいこうきあつ

オホーツク海に現れる高気圧。主として5月下旬ごろから7月の前半にかけてよく出現する。中心がオホーツク海になくても、その近傍にある場合には、同じ名前でよばれる。上空では偏西風波動の気圧の尾根切離(せつり)高気圧が対応していることが多く、その場合には、その部分は背の高い温暖高気圧である。しかし下層は冷湿な海洋性寒帯気団(オホーツク海気団)で占められており、本州の東北地方や北海道に冷たい北東風(これを「やませ」とよぶ地方が多い)となって吹き込んでくる。この高気圧が優勢で停滞期間が長いと、梅雨が長引いたり、冷夏になったりして冷害がおこる。ほかの季節にも一時的に現れることがあり、梅雨に似たぐずついた天気をもたらす。

[倉嶋 厚]

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