( 1 )「狂文・四方のあか‐上・児戯賦」に「つるつるといふ名にめでて、籠目籠目とうたふ」、「雑俳・種お卸‐一六」に「蓋置はかこめかこめの唐子にて」、「清元・月花茲友鳥(山姥)」に「かごめかごめかごの中の鳥はいついつ出やる夜明のばんにつるつるつるつっぱいた」など、歌の文句の例が見られる。
( 2 )「かごめ」の語源については、「囲め」説の他に、「屈(かが)め」説、「籠目」説、鳥の呼び名とみる説などがある。また、歌詞の意味の不明さや、各地に伝わる歌詞の多様さから、「うしろの正面だあれ」というあてもの遊びとして定着する以前に、かなりの変遷があったかと推測される。
( 3 )その源として有力視されるのは、一種の神寄せの方式で、一人を他の人々が囲み、その人に地蔵がのりうつるのを待って周囲の者が質問を出し、その答えを聞くというもの。「地蔵遊び」「地蔵まわし」「中の中の地蔵(小仏)」などと呼ばれる。
日本各地に伝わる伝承遊びの一つ。〈かごめかごめ〉の歌に合わせて遊ぶ。かつては女児の遊びとして日常的なものであったが,近年この類の遊びは見られなくなった。時代,地方により歌詞や遊び方は多少違うが大要は以下のとおり。(1)1人がかがんで両手で目を覆い,その者を中心に他の全員が手をつないで円形を作る。(2)〈かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に つるつるつっぺった(あるいは,ツルとカメとつっぺった)〉と歌いながら円を描いてまわり,〈後ろの正面だあれ〉と歌い終わったところで進行を止めて中心を向く。(3)中心にかがんでいた者は,自分の真後ろにいる者の名を当てる。(4)当たればその者と交代し,当たらなければそのまま目を覆ってかがみ再開する。一説に〈かごめ かごめ〉は〈屈(かが)め 屈め〉という語の転訛であるともいわれる。このほかにも同類型の遊びがあり,江戸後期の〈回りの小仏〉などはその好例である。
執筆者:半澤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
子供の遊びで、群れとして行われる。東京付近では「かぁごめかごめ、籠(かご)の中の鳥は……」と歌いながら遊ぶので名づけられたものだろう。もとは「屈(かが)め、屈(かが)め」といって中央の子供を屈ませるのだという説もある。『江戸語の辞典』(前田勇編)によれば「数童が手をつないで円陣をつくり、その中に一童を入れて籠の鳥に擬し……」とあり、この形で遊びが進行する。「かぁごめかごめ、籠の中の鳥は、いついつ出やる、夜明けの晩に、つるつるつっぺった」と歌いながら回り、歌い終わったとき「うしろの正面だあれ」と唱えて一同がかがみ、円陣の中の鬼になっている子の背後にあたる者の名を鬼に当てさせ、当たれば当てられた子が次の鬼となって交代する。遊び方はほぼこのようで、近代に東京で行われたのもこの形であった。遊びの起源は、神の託宣を聞こうとする者のしぐさから出ているといわれていて、例証としては福島県のある村の地蔵遊びというのをあげることができる。それの形はかごめかごめとほぼ同じで、「おのりやれ地蔵様」と唱えながら回っていると、中央の子に地蔵様がのり移るといって、そこで各自質問を出して返事を聞くのだという。つまり特定のよりまし(尸童)に神を寄せる、神寄せの方式がもとになっているという。
[丸山久子]
…本来は,神の依代(よりしろ)や神座(かみくら)を中心として,その周囲を繰り返し回りながら神がかりする,呪術宗教的な行動を意味した。沖縄県島尻郡の久高(くだか)島で12年に一度,午の年に,5日間にわたって行われる入巫式イザイホーは,今もなお,舞の原形態をとどめており,また,小児遊戯の〈かごめかごめ〉は,神がかりの舞がぼやけて残った姿だといわれている。舞はこのような性格のものであったから,それが芸能化されてからも,声聞師(しようもじ)などの呪術芸能者が担当した。…
※「かごめかごめ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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