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かぜとインフルエンザの予防 かぜといんふるえんざのよぼう

家庭医学館の解説

かぜといんふるえんざのよぼう【かぜとインフルエンザの予防】

かぜウイルスと免疫(めんえき)
 なぜ人は何度もかぜにかかるのでしょう? かぜの原因となるウイルスは、9種類が知られています(「かぜ症候群をおこすウイルス」)。そして、その種類ごとに、さまざまな血清型(けっせいがた)をもった多くのタイプがあります。
 ウイルスが人の体内に入った場合、それを見分け、記憶し、つぎに同じウイルスが入ってきたら追い出そうとするのが免疫というはたらきです。その免疫のしくみがウイルスを見分けるときに目印にするのが、血清型なのです。
 しかし、ライノウイルスのようにしっかりした免疫ができるウイルスは100以上の異なった血清型をもっています。つまり、100回以上ちがった血清型のウイルスにかからないと、免疫ができないということなのです。
 一方、RSウイルスのように、血清型の少ないウイルスは、一度かかってもしっかりした免疫ができあがりません。
 また、インフルエンザA型ウイルスのように、何十年かに1回血清型を変えて、免疫のないウイルスになって、世界的流行をするものもあります。
 以上の3つの理由によって、人は何度もかぜにかかるのです。
◎かぜの流行
 かぜがはやるのは冬が中心です。これは、かぜのウイルスが生きるのに、低い温度と乾燥した空気が有利だからです。9月ごろからかぜにかかる人が増え、つぎつぎと別の種類のウイルスが流行し、春まで続きます。
 夏かぜは、アデノウイルスやエコーウイルス、コクサッキーウイルスのように、高温多湿に強いウイルスやライノウイルスがおもな原因です。
●かぜの感染のしかた
 からだに入ったかぜウイルスは、気道(きどう)(鼻、のど、気管支)の粘膜細胞(ねんまくさいぼう)の中で増えます。
 ウイルスの入った分泌物(ぶんぴつぶつ)(鼻水、つば、たん)は、くしゃみ、せきによって飛沫(ひまつ)(しぶき)になって飛び散るか、鼻をかむなどして手でさわると、周囲のものにくっついて感染します。つまり、飛沫感染(ひまつかんせん)か、接触感染をするのです。
 かぜのウイルスが、からだに侵入するしかたを理解しておくことは、かぜの感染予防に役立ちます。感染には、つぎのような経路があります。
●感染経路
①ウイルスの吸入
 インフルエンザのようなかぜは、くしゃみやせきなどで飛ばされ、ウイルスが入った鼻水や唾液(だえき)などの空中に浮いた小さな飛沫を、気管支の奥に吸い込むと伝染します。
②飛沫の付着
 分泌物の大きな飛沫は、直接に周囲の人の鼻の粘膜や目の結膜にくっついて、かぜウイルスがうつります。
③接触感染
 ウイルスの入った分泌物が品物につき、これにさわった手で鼻や目にさわるためにうつります。
 また特別な経路として、アデノウイルスによるプール熱のように、便(べん)に排泄(はいせつ)されたウイルスを肛門(こうもん)の周囲などにつけた人によってプールが汚染され、感染することがあります。
◎かぜの予防法
 かぜのおもな原因はウイルスなので、ウイルスがからだに入るのを防ぎ、ウイルスに対する抵抗力を強めることが予防の基本です。
 高温多湿を保つ 冬かぜのウイルスは高温多湿に弱いので、室内の保温、保湿に努めることは、家庭内で感染する機会を減らします。
 ウイルスの侵入を防止 ガーゼを数枚重ねたふつうのマスクでは、かぜウイルスを食い止めることはできず、かんたんに通り抜けてしまいます。のどの粘膜に付着したウイルスは、しっかりくっつき、すぐ細胞の中に入り込んでしまうので、うがいで除くのはむずかしいのです。
 不完全でも実際的な予防は、手についたウイルスを、目、鼻、口に入れないよう、ていねいに手を洗うことがたいせつです。
 プール熱のはやる夏には、プールからあがるときに、うがいや洗眼をすれば、ある程度は予防することができます。
 ウイルスへの抵抗力を高める 日ごろから不摂生を避けることは、健康に過ごすための基本ですが、かぜの流行期には、過労を避けて栄養に気をつけ、からだの抵抗力を保つようにします。
◎ワクチンなどによる予防
 一般的なかぜを、ワクチンで免疫力をつけて防ごうとしても、ウイルスの血清型が多すぎたり、確実に免疫ができるウイルスは少ないことなどから、不可能です。
 海外では、インターフェロンという免疫力を高める薬を鼻に使用してライノウイルスの感染を予防する方法が試されています。
 アマンタジンなどの抗ウイルス薬でのインフルエンザの予防が、日本でも認められました。また、効果のはっきりある予防医療に、インフルエンザに対するワクチンの接種(予防接種の知識(「予防接種とは」))があります。
●インフルエンザワクチン
 インフルエンザワクチンは、血清型が合えば60~90%くらい発病を防ぎます。高齢者や免疫力が低下している人では効果が落ちますが、感染しても、60%くらいは、重症になって肺炎になることからまぬがれます。
 1~4週間おきにワクチン接種を2回すると、2週間で予防効果が現われ、6か月ほど続きます。接種方法は皮下注射で、流行が始まる前の秋、9月ころに接種を受けます。効果は1年かぎりですから、翌年もまた受ける必要があります。65歳以上の人では、年1回の接種でも効果があります。
 インフルエンザワクチンは、その年に流行するだろう型を予測してつくります。
 副作用として、発熱、倦怠(けんたい)、注射したところが腫(は)れることなどがあります。また、ワクチンは鶏卵をつかってつくるので、卵アレルギーの人は、専門医に相談することが必要になります。
 先進国でのインフルエンザワクチンの接種は増加していますが、日本では1994年に予防接種法の改正によって任意接種となり、それからは激減しています。
 学校などの集団方式によるインフルエンザワクチンの接種が健康被害をもたらしたことは事実ですが、それを恐れるあまり、ワクチンで免疫をつけておけば防げたかもしれない重症の患者さんが増えることは、けっして望ましいこととはいえません。
 インフルエンザワクチンの接種というのは、それを受けることでインフルエンザの感染を防止するとともに、感染をきっかけとする重症化も防止するためのものです。そのメリットを求める個人が、個人の選択でするものでもあるのです。
 インフルエンザによる重症化や合併症がおこる可能性の高い人(表「インフルエンザによる重症化や合併症の可能性の高い人」)は、ワクチンの接種を考える際、かかりつけの医者に相談されることをお勧めします。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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