カナブン(読み)かなぶん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カナブン」の意味・わかりやすい解説

カナブン
かなぶん / 蚉
[学] Rhomborrhina japonica

昆虫綱甲虫目コガネムシ科ハナムグリ亜科に属する昆虫。本州四国、九州、対馬(つしま)のほか朝鮮半島、中国に分布し、平地から低山地雑木林におり、クヌギなどの樹液に集まる。体長25ミリメートル前後、長方形前方は狭まり、体表は銅褐色ないし銅緑色で油状の光沢をもつ。上ばねの下から後ろばねを出し、よく飛ぶ。同属のアオカナブンR. unicolorはすこし細形で美しい草緑色に光り、山地に多く、クロカナブンR. politaは真黒色で光沢があり、両種ともカナブン同様に樹液に集まる。台湾や南方域には多くの種がいる。なお、スジコガネ亜科に属するドウガネブイブイ、サクラコガネなど、夜間灯火に飛んでくるコガネムシ類のことを俗にカナブンとよぶこともある。

[中根猛彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カナブン」の意味・わかりやすい解説

カナブン
Rhomborrhina japonica

鞘翅目コガネムシ科。体長 23~29mm。体は銅色,銅緑色または緑色でエナメル光沢がある。頭部は長方形,前胸背はほぼ三角形で,上翅側縁は肩部よりやや後方でえぐれる。四国,九州,朝鮮などに分布し,夏季クヌギなどの樹液に集る。近縁のアオカナブン R. unicolorは本種よりやや細長く,光沢のある緑色をしているが,多少黄または赤みがかることもまれではない。中胸突起が幅より長く,長幅相等しい本種と異なる。山地性で,北海道,本州,四国,九州,朝鮮に分布する。

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