日本大百科全書(ニッポニカ) 「カマレス陶器」の意味・わかりやすい解説 カマレス陶器かまれすとうき 青銅器時代のクレタ産陶器の一形式。クレタ島中部のイダ山南壁のカマレス洞穴から同形式の陶器が多数出土したために、カマレス陶器とよばれる。器形は双把手(とって)をもつ水差し、壺(つぼ)、脚杯、「コーヒー・カップ」と通称される杯(さかずき)など。暗色の地に、赤、白、橙(だいだい)色で、植物、海棲(かいせい)動物、幾何学文などが描かれる。小型のものは器壁がきわめて薄く、「卵殻陶器」の別名がある。製作は中期ミノス第2期、クノッソスをはじめとする宮廷工房と推測され、芸術的に高く評価されている。遺例の多くはヘラクリオン美術館に収蔵されている。[友部 直][参照項目] | エーゲ文明 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カマレス陶器」の意味・わかりやすい解説 カマレス陶器カマレスとうきKamáres ware クレタ陶器 (土器) の一種。中期クレタ文明第2期 (前 1900~1750) にクノッソスやファイストスで製作された土器。形は多様で,つや消しの白,赤,黒褐色の地に動物や草花の大胆な装飾文様を施す。呼称はこれらの土器が最初に多数発見されたイダ山中のカマレス洞窟の名に由来する。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報