ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カミングズ」の意味・わかりやすい解説
カミングズ
Cummings, Edward Estlin
[没]1962.9.3. ニューハンプシャー,ノースコンウェイ
アメリカの詩人,小説家,画家。 1915年ハーバード大学卒業,翌年修士号をとった。第1次世界大戦には野戦衛生隊の運転手として志願し,フランス北部に駐留中スパイの嫌疑を受けてフランス北西部の収容所に3ヵ月間拘禁された。その体験がのちに実験的な小説『巨大な部屋』 The Enormous Room (1922) となり,バニヤンの『天路歴程』を踏まえたこの小説はヘミングウェー,E.ウィルソンらの絶賛を浴び,T.E.ロレンスは「アメリカ人が書いた最良の戦争小説」と評した。戦後はニューヨークで2年間暮してから,「失われた世代」の作家らしく数年間パリで絵を学び,アンデパンダン展にも幾度か出品し,また E.パウンドやダダの詩人とも交遊。 24年帰国,30年には再びパリに渡り数年間を過したが,その後はニューヨークのグリニッチ・ビレッジに居を定めて創作に励んだ。彼の詩は句読点,大文字を排し,活字を視覚的に配列するなど,実験的なものが多い。おもな詩集に『チューリップと煙突』 Tulips and Chimneys (23) ,『詩四十一』 XLI Poems (25) ,『&』 (26) ,『is5』 (26) ,『ビバ』 ViVa (31) ,『1/20』 (36) ,『詩五十』 50Poems (40) ,『1×1』 (44) 。ほかに戯曲『彼に』 Him (27) ,ソ連紀行『エイミイ』 Eimi (33) などがある。
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