カリウム‐アルゴン法(読み)かりうむあるごんほう(英語表記)potassium-argon method

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリウム‐アルゴン法」の意味・わかりやすい解説

カリウム‐アルゴン法
かりうむあるごんほう
potassium-argon method
potassium-argon dating

岩石鉱物年代測定法の一つ。カリウム放射性同位体カリウム40(40K)が電子を捕獲し、アルゴン40(40Ar)に放射壊変する(半減期1.25×109年)ことを利用したもの。岩石試料中のアルゴン40とカリウム40の量比から、同試料が結晶化もしくは加熱によって、アルゴンを完全に失った時期以降の年代が算出される。変成作用のように相変化を伴うものは、それまでにできていたアルゴンをほぼ完全に放出するので、最後の変成年代を知る方法にも用いることができる。

 カリウムは雲母(うんも)、カリ長石、角閃(かくせん)石など、多くの造岩鉱物に含まれるので、この年代測定法の適用範囲は広い。通例100万年より古い岩石の年代測定に用いられるが、カリウム含有量が多い試料については、それより新しい年代にも適用できる。K‐Ar法と略称されることが多い。

[伊藤谷生・村田明広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリウム‐アルゴン法」の意味・わかりやすい解説

カリウム・アルゴン法
カリウム・アルゴンほう
potassium-argon method

K-Ar法ともいう。カリウム 40がβ崩壊電子捕獲により,カルシウム 40とアルゴン 40に放射崩壊することを利用して岩石の絶対年代を決める方法の一つ。電子捕獲によって生じるアルゴン 40が岩石中に蓄積された量とカリウム 40の含有量 (カリウム全体の 0.0118%であることがわかっている) から岩石がアルゴンを蓄積しはじめてから現在にいたるまでの時間が算定される。カリウム 40の半減期は 1.25×109 年であるので,普通 106 年以上の年代測定に用いられる。岩石が生成されたあと何かの事件で加熱を受け,岩石からアルゴンが失われるようなことがあると,カリウム・アルゴン法はその事件からあとの年代を与えるので,ルビジウム・ストロンチウム法などから求めた年代よりも若い年代を与える場合がある。

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