カルコン(その他表記)chalcone

デジタル大辞泉 「カルコン」の意味・読み・例文・類語

カルコン(chalcone)

芳香族ケトンに属す有機化合物一つ狭義にはベンザルアセトフェノンと呼ばれ、天然に存在せず、ベンズアルデヒドアセトンから合成される。広義にはその誘導体も含まれ、天然にさまざまな植物色素として存在し、各種フラボノイド生合成にかかわる。抗菌性、抗炎症作用を示すものもがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「カルコン」の意味・わかりやすい解説

カルコン
chalcone

狭義にはベンザルアセトフェノンをいうが,広義にはその誘導体をも含めてカルコンと総称する。ベンザルアセトフェノン自身は天然には存在しないが,カルコン類は多数天然に存在する。たとえばブテインダリアの黄色品種やキバナコスモスなどの花に配糖体として含まれる黄色色素)やカルタミンベニバナの花冠に含まれる紅色色素,日本では食紅としても用いられる)などの植物色素がある。その閉環異性体がフラバノンflavanoneで,フラボンアントシアニンなどとともに,これら黄色色素化合物の総称としてフラボノイドflavonoidと呼ばれ,アセチルCoAを出発物質にして生ずるポリケチドpolyketideの一種である。ポリケチドとは,一般式R(CH2CO)nCO2Hで示されるβ-ポリケト酸を経て生合成される物質の総称である。



 ベンザルアセトフェノンにはシス,トランスの2種の異性体があるが,通常はトランス体をさす。淡黄色の結晶で,融点59℃であるが,ほかに57℃,49℃,48℃,28℃,18℃などの融点を示す多数の多形がある。エーテル,二酸化炭素,クロロホルムベンゼンによく溶け,エチルアルコールには少し溶ける。光照射により二量化する。
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化学辞典 第2版 「カルコン」の解説

カルコン
カルコン
chalcone

1,3-diphenyl-2-propen-1-one.C15H12O(208.25).天然には存在せず,アセトフェノンベンズアルデヒド縮合により合成される.橙黄色柱状晶.融点58 ℃,沸点345 ℃.1.071.1.646.濃硫酸と無水酢酸により二量体をつくる.広義では,カルコンは天然にある上記化合物とヒドロキシ誘導体を総称し,橙黄色または橙赤色の色素である.カルタミン,ロットレリン,ブテインなどがその例である.皮膚刺激性がある.[CAS 94-41-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルコン」の意味・わかりやすい解説

カルコン
calcone

ベンザルアセトフェノンの別称。化学式 C6H5COCH=CHC6H5 。橙黄色の柱状晶。融点 57~58℃。カルコンのオキシ誘導体はベニバナの色素カルタミンなど,赤色系の天然色素の一群をなし,それらを総称してカルコンということもある。フラボノイドと近縁の関係にある。

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