日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワラヒワ」の意味・わかりやすい解説
カワラヒワ
かわらひわ / 河原鶸
oriental greenfinch
[学] Carduelis sinica
鳥綱スズメ目アトリ科の鳥。アムール地方から中国南部にかけて、またカムチャツカ半島、千島列島、樺太(からふと)(サハリン)、日本に分布する。北方のものは、やや南下して越冬する。全長約13センチメートル。全身オリーブ褐色で、雌よりも雄のほうが色が濃い。飛ぶと翼に大きな黄色い帯模様が目だつ。村落周辺、林縁にすみ、都会の公園や街路樹にも巣をつくる。秋から翌春までは大きな群れをつくり、収穫の終わった田畑や川原で採食する。典型的な穀食性の小鳥で、太く短い嘴(くちばし)を使って草の種子を割って食べることができる。植物食の鳥も、雛(ひな)に与える餌(えさ)は動物性のものが多いのが通例であるが、この種は、昆虫などはほとんど給餌(きゅうじ)せず、もっぱら嘴で砕いた種子を与える。葉の茂った常緑樹のこずえ近くに巣をかけ、3~5個の青白色の卵を産む。一夏に2回繁殖することが多い。都市部でもけっして少なくない鳥であるが、体形の似ているスズメと見誤られることが多い。1日の行動範囲はスズメよりずっと広く、「キリキリコロコロ」と鳴きながら飛ぶ姿をよくみかける。かつては狩猟鳥に指定されて、毎年数十万羽がかすみ網によって捕獲され、食用とされたが、1947年(昭和22)かすみ網が禁止されるとともに、狩猟鳥から除かれた。ヨーロッパには、近縁で英名を単にgreenfinchというアオカワラヒワC. chlorisが分布している。
[竹下信雄]