日本大百科全書(ニッポニカ) 「狩猟鳥」の意味・わかりやすい解説
狩猟鳥
しゅりょうちょう
game bird
法律によって一定の制限の下に捕獲が認められている鳥をいう。したがって、その種類は法の改正によって変化する。歴史的にみると、日本では明治時代には現在とは反対に、捕獲してはならない鳥を指定してそれを保護鳥とよんでいたが、1918年(大正7)の法改正で、現在のように狩猟鳥を指定することになった。最初の指定で名前のあげられた鳥は46であったが、そのなかにはカモ類というように何種もの鳥を含む名前があり、実際の種数はさらに多かった。その後、1947年(昭和22)に多くの鳥が狩猟鳥から除かれ、さらにガン類なども除かれて、2016年(平成28)の時点で「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」によって指定されている狩猟鳥は28種である(そのうちカモ目11種、キジ目4種)。この間に、考え方は、鳥は原則として捕獲してもよいというものから、鳥は原則として捕獲してはならないというものへ、大きく変化した。現在では狩猟鳥として指定された種であっても、卵と雛(ひな)をとることは禁止されている。狩猟鳥は国内法によって指定されるものであるから、その種は国によって異なっているが、鳥の捕獲を生業とする人口は急速に減少しており、この傾向は世界的な趨勢(すうせい)といえる。なお、game birdという英語は、北アメリカでは狩猟鳥という意味であるが、イギリスでは分類上のキジ科ライチョウ亜科とキジ亜科の鳥(ときにはさらに広くキジ目の鳥)をさす。
[浦本昌紀]