日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス事業法」の意味・わかりやすい解説
ガス事業法
がすじぎょうほう
1954年(昭和29)に制定されたわが国におけるガス事業の規制法。同法においては、ガス事業は電気事業と同様に公益事業と位置づけられ、制定された供給区域内において供給独占が認められるかわりに供給責任を負うと定められ、かつ、その料金は「原価主義」「公正報酬」「需要家間の公平」を原則として認可されると規定されてきた。
しかし、ガス事業においても規制緩和の要請が高まり、1995年(平成7)にはガス事業法が改正され、大口ガス事業(年間契約数量200万立方メートル以上)に対する規制が緩和された。具体的には、従来の一般ガス事業者以外の新規参入者が大口ガス事業を行うことが可能になると同時に、ガス事業者はほかのガス事業者の供給区域における大口ガス事業に参入することが可能になった。また、大口ガス事業に関してはその料金は認可制ではなく当事者間の個別交渉による自由な料金設定を行うこととしている。ただし、その一方で、大口・小口部門での会計分離、大口ガス事業に関する事業計画の規制当局への提出義務等も定められている。
さらに、いっそうの規制緩和を進めるため、1999年にはガス事業法を再改正し、大口ガス事業の範囲(年間契約数量を100万立方メートル以上に引き下げ)を拡大することとなった。また、大口ガス事業への重要な参入条件となる託送(料金)制度について、その詳細が検討された。
[小山 堅]