日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ガルシラソ・デ・ラ・ベガ
がるしらそでらべが
Garcilaso de la Vega
(1501?―1536)
スペイン・ルネサンスの代表的宮廷叙情詩人。トレドの貴族の家に生まれ、国王カルロス1世の側近として仕えた。1525年に結婚するが、翌年ポルトガル女性イサベルを知り熱愛。しかしイサベルへの愛は実らず、彼女は別の男と結婚し、数年後に死亡。ガルシラソは自分の詩業の大半を彼女との悲恋に捧(ささ)げ、36年フランスで戦死した。生前イタリアに渡り、ギリシア・ラテン文学の素養を背景にペトラルカ風ソネットの詩法を身につけ、友人ボスカンとともにスペイン詩壇にソネット形式を導入、定着化した。代表作は三つの長編詩『牧歌』であるが、ほかにスペイン語とラテン語の小品を残している。
[清水憲男]