がんセンター

改訂新版 世界大百科事典 「がんセンター」の意味・わかりやすい解説

がんセンター

癌,肉腫など悪性新生物に対する診断治療研究を行う施設。平均余命延長が著しかった昭和20年代以降,老年人口増加や抗生物質の適用,栄養状態の改善などによって感染症による死亡が減少するにともなって,悪性新生物による死亡数は増加の一途をたどり,1953年には死因第2位に,80年には第1位に上昇した。このような背景のもとで,62年,国立がんセンター東京築地に,運営部,病院(中央病院),研究所を総合した形で設置された。病院は,外来部,内視鏡部,放射線治療部,薬剤部などからなり,研究所は,病理部,生化学部,化学療法部などからなる(92年には難冶性の癌専門治療に対応するため,東病院が千葉県柏市に開設された)。また運営部は,組織の総合的運営のために,資料・情報の収集や調査研究と診療についての企画・実施の調整,技術者の研修などを行っている。このような診断,治療,研究調査を総合した施設は,その後,順次各地に設置され,国立札幌病院(現,独立行政法人の国立病院機構・北海道がんセンター),宮城県立成人病センター(現,宮城県立がんセンター),新潟県立がんセンター新潟病院,神奈川県立成人病センター(現,神奈川県立がんセンター),愛知県がんセンター,大阪府立成人病センター,国立呉病院(現,前掲機構・呉医療センター中国がんセンター),国立病院四国がんセンター(現,前掲機構・四国がんセンター),国立病院九州がんセンター(現,前掲機構・九州がんセンター)が全国9ブロックの地方センターとして同様な機能を遂行している。このほか,埼玉,千葉,兵庫などの各県にも同様な施設があり,県単位に診療と研究を行っている。

 なお国立がんセンターは,戦前からあった癌研究所の前例に学び,さらに大規模なスケールで設置されたものといえる。

 癌研究所は,正式名称を財団法人癌研究会といい,1908年に東大医学部病理学教室で発足,34年に東京都豊島区西巣鴨に研究所と付属病院を併設,2005年江東区有明に移転した。日本の癌研究の中枢として大きな役割を果たし,現在も活発に機能している。
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百科事典マイペディア 「がんセンター」の意味・わかりやすい解説

がんセンター

日本における癌患者多発の状況に応じて,癌の予防,診断,治療,基礎的研究のため設立された機関。東京に理想的なものをつくる方針で,1961年東京築地に国立がんセンターが設置され(1962年診療開始),その後各地に国公立のがんセンターが設立された。東京築地の国立がんセンターは研究所,病院および運営部からなり基礎的・臨床的研究と診断治療が行われている。

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