政策医療の適切な実施等のため、2004年(平成16)4月に発足した厚生労働省所管の独立行政法人。英語表記はNational Hospital Organization。それまで厚生労働省管轄の医療機関であった旧国立病院・国立療養所のうち、災害医療センターはじめ144病院(病床数約5万7000床)と、付属の看護・看護助産学校、リハビリテーション学院を運営する。国立がん研究センターなどの国立高度専門医療センターと国立ハンセン病療養所以外のすべてが含まれる。初代理事長は矢崎義雄(やざきよしお)・東京大学名誉教授。
国立病院機構は国民の健康に寄与する政策医療を重視しつつ、日本有数の病院ネットワークを活用して日常的な診療のほか、医療の質の向上のための臨床試験や科学的な調査研究、医療従事者の育成をする使命をもつ。具体的には都道府県に協力し、診療では、癌(がん)、脳卒中、心臓病、糖尿病の四大疾病、救急医療、災害医療、僻地(へきち)医療、周産期・小児医療、および従来から行っている重症心身障害児、神経難病、結核、エイズ患者に対する医療など、ほかの病院ではかならずしも実施されないおそれのある医療について、セーフティネットとしての機能を果たす。質の向上に関しては医療ネットワーク、クリニカルパス(入院中の検査、治療、ケアの内容、安静度、食事等の計画を時系列で詳しく記載したスケジュール表)、チーム医療などを推進する。また、日本では大半の病院がセカンド・オピニオンに消極的なのに対し、国立病院機構の多くの病院が「セカンド・オピニオン外来」を設置していることが特徴である。本部の所在地は東京都目黒区東が丘で、東京医療センターに隣接する。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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