日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュウリウオ」の意味・わかりやすい解説
キュウリウオ
きゅうりうお / 胡瓜魚
American smelt
rainbow smelt
[学] Osmerus dentex
硬骨魚綱キュウリウオ目キュウリウオ科の海水魚。体臭がキュウリの香りに似ているのでこの名がある。口裂が大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁下に達する。口内にとがった長い歯がある。脂(あぶら)びれがあり、体の鱗(うろこ)はやや大きく、縦列鱗(りん)数は65枚前後。全長は普通20センチメートル以下であるが、まれに30センチメートルを超える。太平洋北部から北極海にかけて広く分布し、日本では北海道沿岸にすむ。4~6月に川を上り、河口から1~3キロメートルぐらい上流で水深30センチメートルくらいの川床に、夜間から翌朝の間に卵を産む。受精後1か月余りで孵化(ふか)し、夏に海へ下る。小エビ、カニ類、ゴカイ類、小魚などを食べて成長し、生後2年で15~20センチメートルになり成熟する。肉は白身で味は淡泊、干物、フライ、塩焼きなどにされる。干物にすると外見がシシャモによく似るが、本種は口内に大きな強い歯があることで区別できる。
[落合 明・尼岡邦夫]