キルパトリック(読み)きるぱとりっく(英語表記)William Heard Kilpatrick

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルパトリック」の意味・わかりやすい解説

キルパトリック
きるぱとりっく
William Heard Kilpatrick
(1871―1965)

アメリカ教育哲学者。デューイ指導を受け、ともに新教育運動を推進した。とくに、新教育における学習活動様式としてプロジェクト・メソッドを考案したことで知られる。しかし、教育研究に対する貢献として注目すべきことは、以上のことよりもむしろ、プロジェクト・メソッドが依拠する学習一般理論において、「付随学習」という概念をつくりだしたことであろう。子供は学校で、教師が意図した教科内容だけを学ぶのではない。それと並行して、学校、教師、学習、自分自身についても同時に学んでいるのである。これが付随学習であり、この蓄積が子供の性格を形成する。彼は従来の教育研究がこの点を無視してきたことを批判した。

[池田久美子]

『キルパトリック著、村山貞雄他訳『教育哲学』全2巻(1969・明治図書出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キルパトリック」の意味・わかりやすい解説

キルパトリック
Kilpatrick, William Heard

[生]1871.11.20. ジョージア,ホワイトプレーンズ
[没]1965.2.13.
アメリカの教育学者。 1891年マーサー大学卒業,ジョンズ・ホプキンズ大学大学院で数学物理学専攻小学校高等学校,大学で教えたのち,再度ジョンズ・ホプキンズ大学大学院で数学,天文学を学び,97年マーサー大学の数学,天文学教授。 1907年コロンビア大学教育学部大学院に学び 12年博士号を取得。 13年コロンビア大学助教授,18年教授となる。 P.モンロー,E.ソーンダイク,J.デューイなどの影響を受け,教育哲学,教育方法の理論に独自の分野を開拓した。なかでもプロジェクト・メソッドは彼の心理学的,教育的理論づけによって,アメリカばかりでなくヨーロッパ,日本にも紹介され,進歩主義教育の教育方法として実践された。 27年と 29年の2回来日した。主著『プロジェクト法』 The Project Method: the Use of the Purposeful Act in Educative Process (1918) ,『教育と文化変革』 Education for a Changing Civilization (26) 。

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