日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギールケ」の意味・わかりやすい解説
ギールケ
ぎーるけ
Otto Friedrich von Gierke
(1841―1921)
ドイツの法学者。ベルリン大学に学び、ブレスラウ大学、ハイデルベルク大学教授を経てベルリン大学教授。歴史法学派に属するが、ベーゼラーG. Beseler(1809―1888)の影響のもと、ゲルマン法の精神の尊重を主張したゲルマニステンの代表者。彼の研究領域はきわめて広く、ドイツ私法、封建法、教会法、民法、商法、手形法、国法学、憲法に及び、主著として、『ドイツ団体法論』全4巻Das Deutsche Genossenschaftrecht(1868~1913)、『ドイツ私法論』全3巻Deutsche Privatrecht(1895~1917)を残している。彼の法律観の根底にあるものは人間団体を有機体ととらえる団体主義であり、この立場からロマニステンを批判した。なかでもドイツ民法第一草案(1887)をあまりにもロマニスト的、個人主義的であるとして批判したことは有名で、1900年施行のドイツ民法典は、部分的ではあるが、彼の主張を取り入れざるをえなかった。
[佐藤篤士]